政治

ロシア「プリゴジンの乱」はプーチン核使用への「壮大な芝居」(1)2人の密接さを象徴する事例

 6月末、ロシアに反旗を翻した民間軍事会社「ワグネル」。この前代未聞の軍事クーデター未遂に全世界が驚愕したが、それは各国の情報機関でも同様だった。

 世界に冠たる米国のCIA(中央情報局)ですら寝耳に水であり、事前情報を受けていなかったバイデン大統領は大リーグ中継を見ている最中に事を知り、「びっくりした」と漏らしたほどだという。

 だが、そこはCIA。その後の巻き返しは早かった。すぐさま関連の全データを精査の上、今後、起こり得る事態をも想定した情勢分析レポートをまとめ上げたのである。

 その中身を知らされた日本の当局筋が語る。

「ふたつの警告が骨子だ。ひとつは『愛人の反乱』とネーミングされた事態で、もうひとつが『壮大なる芝居』というものだ。いずれも、大いに懸念される事態であり、日本も関係がないわけではない」

 同筋の解説によれば、それぞれの概要は以下のようなものだという。

 まず「愛人の反乱」だが、こちらは、プーチン大統領が側近たちの寵愛の順位争いを前に判断に迷い、優柔不断さを露呈したというもの。さしずめ本妻はロシア軍を管轄するショイグ国防相、側室が軍トップのゲラシモフ参謀総長といったところのようだ。前者は12年から国防相を務めており、プーチン大統領の最古参の側近と言われている。また、後者は国防相に就任したショイグ氏によって参謀総長に抜擢され、やはり12年以来、現在に至るまで軍を統率しているが、16年にはプーチン大統領から「ロシア連邦英雄」の称号を授与されている。

 対する、側室にすら手が届かず、「愛人」レベルとされるのがプリゴジン氏だ。そもそもフダ付きだ。弱冠18歳にして窃盗罪で有罪になり、その2年後には強盗、詐欺、売春などの罪に問われ、9年間も服役した経歴の持ち主なのである。

 転機となったのは出所後、ホットドッグの屋台業で成功し、レストラン業に進出する中、大統領就任前のプーチン氏と知り合って気に入られたことだ。これを機に、プーチン氏と密接な関係を築いていく。

 12年に年間12億ドル相当の食事をロシア軍に供給する契約を結んだことは、2人の密接さを象徴する事例としてしばしば取り上げられるが、やはり最たるものは「ワグネル」だ。14年、クリミア危機に際してプーチン大統領に請われ、鍛え抜かれたロシアの元特殊部隊兵を集めて精鋭部隊を創設し、戦線に投入したのだった。以後、「ワグネル」はプーチン大統領の密命を受け、アフリカやシリアなどで暗躍することになる。換言すれば、プーチン大統領の懐刀として動き回ったのである。

 かくしてプリゴジン氏はプーチン大統領の寵愛のもと、財力も権力もあっという間にほしいままにしたのだが、それでも「愛人」であることに変わりはなかった。由緒正しき「本妻、側室」の2人は見下し、嫌悪感をにじませたばかりか、排除するような動きまでみせたのだ。

 それに、プリゴジン氏が猛反発。プーチン大統領に「どちらかを選べ」というメッセージを込めた声明も出したが、プーチン大統領は動かなかった。そこで決起し、実力行使に及んだ─。

時任兼作(ジャーナリスト)

カテゴリー: 政治   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
上原浩治の言う通りだった!「佐々木朗希メジャーではダメ」な大荒れ投球と降板後の態度
2
フジテレビ第三者委員会の「ヒアリングを拒否」した「中居正広と懇意のタレントU氏」の素性
3
3連覇どころかまさかのJ2転落が!ヴィッセル神戸の「目玉補強失敗」悲しい舞台裏
4
ミャンマー震源から1000キロのバンコクで「高層ビル倒壊」どのタワマンが崩れるかは運次第という「長周期地震動」
5
巨人「甲斐拓也にあって大城卓三にないもの」高木豊がズバリ指摘した「投手へのリアクション」