乳酸菌飲料ブームが続いている。マーケティングリサーチのインテージが発表した「2023年上半期売れたものランキング」の食品カテゴリーでは、乳酸菌飲料が昨年の9位から5位にランクアップするなど人気は増す一方だ。
フードジャーナリストが解説する。
「2016年頃から腸内環境を整えて健康な体づくりをしようという、いわゆる『腸活』が話題になってから乳酸菌飲料に注目が集まりはじめました。その後、21年に乳酸菌シロタ株を1ミリリットル当たり10億個配合し、ストレスの緩和と睡眠の質向上を謳った『ヤクルト1000』(店頭用はY1000)が全国発売されると空前の乳酸菌飲料ブームが到来。今年3月には『ピルクル400 Light (65ml×10)』と『ピルクル400 鉄分 (65ml×10)』の2商品が必要な供給量を確保できないことから販売休止を発表するなど、ブームは収まる気配がありません」
需要拡大によっていまだ品薄状態が続く「ヤクルト1000」「Y1000」については、静岡県や千葉県に新工場を建設し増産を急いでいるという。またキリンビバレッジもプラズマ乳酸菌配合の「キリンおいしい免疫ケア」の増産に向け、約100億円を投じた湘南工場に新製造ラインを本格稼働させている。まだまだ乳酸菌飲料の快進撃は続きそうだが、果たして飲むだけで本当に効果を得られるのだろうか?
「乳酸菌飲料では免疫力を高めたり、整腸作用やコレステロールの低減、老化予防などが期待できるとされますが、飲んでも効果を実感できないという方も多いかもしれません。乳酸菌は摂取しても体内に蓄積されることはないので、毎日継続して腸内に補充する必要があります」(健康ライター)
つまり毎日大量に摂取すればいいというものではない。
「乳酸菌は基本的に過剰摂取による副作用はないとされていますが、SIBO(小腸内細菌異常増殖)になっている人は菌の増えすぎによって症状が悪化してしまう可能性があるといいます。また乳酸菌を多く取り入れようとして乳酸菌飲料の他にもヨーグルトやチーズ、味噌、ぬか漬けなどを食べ過ぎると、糖質や脂質の取りすぎになってしまう可能性もある。やはり適量を継続して摂取するべきでしょう」(前出・健康ライター)
ともあれ気軽に摂取できるようになった今、ブームはしばらく続きそうだ。
(小林洋三)