中国政府が3年半ぶりに日本への団体旅行を解禁することが決まった。在日本中国大使館が8月10日に日本の外務省へ、団体旅行を解禁すると、文書で発出。これにより、中国人の訪日観光需要は大きく増える見込みだ。現状、円安によってインバウンドは拡大しており、これに中国人が加わることで、観光地やホテル、輸送業はさらに収益増となりそうである。
中国人観光客は、ドラッグストア、電気店、デパート等で大量に商品を購入する「爆買い」で知られる。日本経済上昇の起爆剤として、期待が高まる。
一方で、大きな懸念もある。世界的に問題になっている、中国人の最悪なマナーだ。
ゴミのポイ捨てや歩きタバコ、観光地での破壊行為、大声での会話、公共の場での放尿、肌着姿で宿のロビーでくつろぐ、宿の備品のドライヤーやタオル、果てはテレビや枕まで持って帰る…。そんなオーバーツーリズム(観光公害)が、再び発生することは間違いないだろう。
「中国人であふれ返り、ホテルや新幹線等の交通機関も一杯になり、日本人の予約が取れないという弊害も生まれそうです。一般日本人にとっては、不都合なシーンが多く出てくるでしょう」(経済誌記者)
ホテルでは清掃員等の人件費高騰と電気料金上昇によって、すでに国内宿泊料金は爆騰。さらなる値上がり、物価の再高騰が憂慮されているわけだが、
「比較的予約数が少ない平日に、旅行需要の分散を図る必要がありそうです。需要に応じて価格を変動させるダイナミックプライシングの導入が進み、連休や土休日に旅行するのは困難になってきている。外国人観光客の訪問地は、大都市に集中しています。大都市に比べて空きが多い地方に外国人観光客を誘致し、観光資源を有効活用して地方活性化に生かしていく方策が必要となるでしょう」(前出・経済誌記者)
観光立国を目指す日本にとっては、大きな転換点となる中国人団体旅行の解禁。同時に、急増する外国人への対策とリスク分散の道筋をつけることが重要になる。