またしても「政治とカネ」の問題が明るみに出た。安倍内閣の目玉である小渕優子経産相(40)が辞任必至の疑惑にまみれている。その政治資金のいいかげんな使いっぷりたるや、クリーンなイメージとは程遠い大胆さなのである。
最初に発覚したのは「週刊新潮」が報じた「明治座」観劇疑惑だった。
「毎年、東京・日本橋の明治座を貸し切って、1000人超の後援会関係者向けに観劇会が行われます。10年と11年の収支報告書によると、その収入は約740万円であるのに対し、小渕氏の政治資金管理団体は約3380万円の支出とし、差額は約2640万円。それを小渕氏の政治団体が補填していたとしたら、有権者への寄付行為と見なされ公職選挙法に抵触する可能性も。また、収入を実際より少なく報告していたら、政治資金規正法の虚偽記載の疑いが見込まれます」(全国紙政治部デスク)
ここからセキを切ったように続々と疑惑が噴出。例えば親族企業への怪しげな支出である。デスクが続ける。
「08年から12年までの5年間にわたり、小渕氏の政治資金管理団体『未来産業研究会』を通じて、実姉がデザインした商品を扱う東京・南青山の高級ブティック『コンセプション』、あるいは実姉のデザイン事務所に計38回、362万円分の支出も確認された。こうした物品の購入は本来、政治資金ではなく歳費で賄うべきもの。公私混同と言われてもしかたがない」
“公私混同”はまだあった。
「銀座や新宿のデパートや高級ホテルで購入した著名デザイナーのブランド服、高級ハンドバッグ、ストール、化粧品、葉巻などの代金を政治活動費として計上。09年4月には4万3942円分の高級Hランジェリーを、11年のクリスマスイブには4万1580円分の子供用オモチャも購入しています。贈答品として約60万円分の下仁田ねぎを毎年購入していることもわかっている」(与党担当記者)
下仁田ねぎに加え、地元群馬の特産品としてか「こんにゃく代」なる項目まであるのだからアキれる。
10月17日、小渕氏は「現時点で私が私的に使ったものは出てきていません」と主張したが、さる野党議員秘書は「弁明の余地はない」と一刀両断するのだ。
実は小渕氏の「政治とカネ」に関する疑惑は今回が初めてではない。ジャーナリストの横田一氏が語る。
「03年の総選挙期間中、小渕氏は八ッ場ダムなどの工事を受注していた群馬県の建設業者『山内工業』から献金を受けていました。公職選挙法は、国の事業の受注者が国政選挙中に献金することを禁じています」
実父である小渕恵三元総理は、みずからを「ビルの谷間のラーメン屋」と称して、足をすくわれないように堅実な政治活動を続けていたと言われている。
「小渕氏は最強の秘書軍団と言われた恵三氏のスタッフを受け継いだが、彼女はベテラン秘書を煙たがり、重用しなかった。そのため実力のある秘書は他の自民党や民主党の議員秘書へと鞍替えし、経験の浅いイエスマンばかりが残った。今回のずさんな処理は、そのしっぺ返しと言えます」(前出・全国紙政治部デスク)
「秘書に任せっきりで知らなかった」と言いたくても、それはみずからが招いた災いだったのだ。