コロナ禍になる前、東京と大阪を行き来するビジネスパーソンの間で話題になったのが「東海道新幹線の『勝ち席』はどこか?」だ。
当時は各車両の一番後ろで、2列席の窓際(普通車ならE席)という声が多かった。席の後ろに荷物を置くことができ、席をリクライニングさせても後ろの人に気を使う必要がない。N700Aは普通車の場合、窓際の席(A席かE席)と最前列と最後列しかコンセントがないが、この席なら電源を確保できる。まさに「勝ち席」だった。
しかし、時間の経過と共に勝ち席は新たな席に移り変わっていると、鉄道ライターは指摘する。
「これまでの各車両の一番後ろは勝ち席ではなくなりました。ここは現在『特大荷物スペースつき座席』として、席の後ろに特大荷物(荷物の3辺の合計が160cm以上250cm以下)を置く人向けとなっています。荷物を置かない人でも利用することはできますが、ここはやはり『おもてなしの国』として、外国人観光客に譲ってあげたいものです」
また最新の車両「N700S」は全席にコンセントが用意されているため、電源が席の勝ち負けの理由ではなくなった。今では勝ち席は利用者が何を優先するかで変わってくるのだという。
「景色を重視するなら窓から富士山が見られるE席を選ぶといいでしょう。隣に人が来るのを避けたいのであれば、3列席の通路側(C席)がおすすめです。3列席の真ん中(B席)は避けられる傾向があり最後まで埋まらないこともありますが、2人並び席は通路側(D席)でも埋まることが多い。またN700Sは3列席の真ん中(B席)は、両隣の座席より座席幅が20ミリ広くなっているので、体の大きな人はここを選ぶといいかもしれません」(前出・鉄道ライター)
列だけでなく席番も重視したい。
「トイレや喫煙室を頻繁に利用するのであれば、各車両のドア付近がいいでしょう。ただ、ドア付近は人の移動が多く落ち着かないので、それを嫌って車両の中央を選ぶ人もいます」(前出・鉄道ライター)
さらにどの車両を選ぶかも大切だ。
「たばこを吸うのであれば、喫煙室がある3号車が15号車になるでしょう。東海道新幹線の名物になった『シンカンセンスゴクカタイアイス』を早くゲットしたいのであれば、7号車か10号車にしましょう。車内販売はここから始まり、7号車から1号車に向かって、10号車から16号車に向かって進んでいきます」(前出・鉄道ライター)
今やどの席も勝ち席。最終的にどこを選ぶのかはお好みしだいということか。