書いた記事の制裁として、名誉棄損で韓国検察当局から起訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長。安否が心配される中、独占直撃をした。語られたのは、官民をあげた醜悪な弾圧の実態。言論の自由を蹂躙し、人権を踏みにじる理不尽な“独裁政権”のふるまいを憤怒糾弾する!
出国禁止を3カ月間延長する──韓国検察は14日、産経新聞の加藤達也前ソウル支局長に対してこう決定した。
最初に加藤氏が出国禁止になったのは8月7日のこと。同月3日に産経ウェブに掲載された朴槿恵〈パククネ〉大統領(62)についての署名記事への“制裁”だった。
4月のフェリー沈没事故発生当日、朴大統領が7時間所在不明になった。7月3日、朝鮮日報はその理由が「既婚男性との密会である」というコラムを掲載する。お相手は朴大統領に7年間仕えた元秘書のチョン・ユンフェ氏(59)。その後チョン氏は離婚するのだが、妻に財産を渡す代わりに、知ったことを「秘密にする」という約束をしたとされている。
これら朝鮮日報の記事を引用した加藤氏の記事は、
「朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に‥‥誰と会っていた?」
というものだ。ハングルで書かれたわけでもなく、日本だけに配信されている。しかし、韓国の保守系団体が大統領に対する名誉棄損として告発。受理した韓国検察は8日、加藤氏が虚偽の事実を書いたと結論づけ、情報通信網利用促進および情報保護などに関する法律上の名誉棄損で在宅起訴、出国禁止処分延長を決定したのだ。「朴槿恵に反抗する者は刑事罰」といった韓国の行動に対して、国際政治学者の藤井厳喜氏はこうアキれた。
「デモクラティックな民主政治の国ではないことをみずから証明しました。北朝鮮にも旧ソ連にも形式的な選挙はありましたので、選挙をすればデモクラシーが実現していることにはならない。独裁者ではなく法が治めることが民主国家の条件です。また言論が自由でなければ民主国家は成立しないのです。この一件で、韓国は先進国でないことをみずから暴露し、自分で自分を蔑んだと言えます」
ソウル市内では、加藤氏と安倍晋三総理(60)のお面をかぶった人物を引き回すデモが頻発し、土下座させられ足蹴にされるパフォーマンスまで行われている。官民あげた醜悪弾圧の中で加藤氏の安全は確保されているのか──産経新聞社広報部を通じて本人が回答を寄せてくれた。
「毎日、短時間(1~2時間程度で、長いと3時間)支局が入るソウル中心部の京郷〈キョンヒャン〉新聞社ビルの1階玄関前で、複数の団体がデモを展開しています。私の顔写真と見られるものを貼り付けた人形大のわら人形のようなものに火をつけようとする団体が、制止する警官隊ともみ合う場面もありました」
盗聴の危険性があることから書面でのやり取りになったことが、加藤氏の置かれた状況を象徴していると言える。