作家の百田尚樹氏とジャーナリストの有本香氏が9月に「百田新党(仮)」を結成するべく、準備を進めている。知名度抜群なだけに、自民党に不満を持つ層や、日本維新の会、参政党への支持にも影響を与えることになりそうだ。
作家による新党では、石原慎太郎元都知事が結成した「次世代の党」などがあるが、長続きはしなかった。ベストセラー作家であり、ネット番組では舌鋒鋭く事象を解説する百田氏は、政治家としては素人。それだけに「長続きはしない」(自民党閣僚経験者)との冷ややかな見方もある。
百田氏は自身のYouTube番組で、LGBTなど性的少数者への理解増進法が成立すれば、社会の根幹を形成する家庭や皇室制度が崩壊し、日本が破壊される恐れがあるとして「保守新党を新たに立ち上げる」と宣言した。さらに、岸田文雄総理が法案成立に向けて動いているとして、支持できない、との立場を鮮明にしている。
本気度を疑う見方は強かったが、LGBT理解増進法が成立したことで、百田氏は「衆院選、候補者を立てます」と断言。
焦点となるのは、百田氏が自ら党首として陣頭指揮に立つかどうかだ。ネット番組でのやりとりでは、有本氏が「私、党首やりませんからね」と言うと、百田氏は「ワシは雑用係や」と応じるなど、けむに巻いている。
教訓とすべきは、小池百合子都知事が立ち上げた「希望の党」だ。2017年の衆院選では台風の目とされたものの、小池氏自身が衆院選への出馬を見送ったことで、求心力を失った。さらに小池氏の「排除」失言もあり、235人の候補を立て、わずか50議席の獲得で惨敗した。
百田氏には、党首として衆院選に出馬する覚悟があるのか。その言動は、岸田総理の発言以上にニュースになることだろう。