8月23日、ロシア非常事態省は次のような衝撃的なニュースを公にした。
〈ワグネルの乱を主導したエフゲニー・プリゴジン氏を乗せたプライベートジェットが、ロシアの首都モスクワの北方で墜落。プリゴジン氏を含む搭乗者7人と乗組員3人を合わせた10人全員の死亡が確認された〉
その後の海外メディアなどの情報を総合すると、モスクワからサンクトペテルブルクに向かって、高度8500メートル付近を飛行していたプライベートジェットは突然、8月23日午後6時11分(日本時間24日午前0時11分)に、位置情報が途絶えたという。そして午後6時19分から上昇と下降を激しく繰り返した直後、20秒間に2400メートルという異常な急降下状態に陥り、午後6時20分に全ての追跡が不可能になった。
反逆者プリゴジン氏が搭乗するプライベートジェットで、何が起きたのか。プーチン政権の機密情報に詳しい国際情報アナリストが声を潜めて明かす。
「墜落は事故ではなく撃墜された、つまりプリゴジンはプーチンに暗殺された、とみて間違いないでしょう。事実、日本時間の24日未明から『プーチンが機体を撃墜させた』との情報が流れています。具体的には、プーチンがショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長に命じて、地対空ミサイルでプライベートジェットを墜落させ、爆殺したということです」
実はワグネル所有の同機には、ワグネル創設者のプリゴジン氏のほか、ワグネルの共同創設者で司令官のドミトリー・ウトキン氏、プリゴジン氏の側近として知られるヴァレリー・チェカロフ氏など、ワグネルの最高幹部らが搭乗していた。
「プライベートジェットを撃墜した地対空ミサイルは、モスクワとサンクトペテルブルクの中間地点に敷かれた防空網、つまり、この地にあるプーチンの秘密の別荘を守る防空網から発射されたとみられています。独裁者プーチンは、裏切り者を絶対に許しません。したがって、今回の撃墜劇には、反逆首謀者を始末するとともに、ワグネルを壊滅させる目的もあったと考えられるのです」(前出・国際情報アナリスト)
事実、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」も、今回の一件は「プリゴジン暗殺」と「ワグネル排除」のための最終ステップだった、との見方を示している。
その時、迫りくる地面を見つめながら、プリゴジン氏は何を思ったのだろうか。