関東の競馬場の入場者数は、地方の競馬場に比べると多い。8月18日、川崎競馬第6回5日目の入場者数は3585人。地方の場合、1000人に満たないことも多く、桁が違っている。
場内を歩き回ると、活気も違う。特に大井競馬場、川崎競馬場である。人が多いと飲食店の数が多いのも当たり前で、両場は別格だ。
ギャンブル場の食べ物をマズイと言う人がいるが、そういう人は、月に何日かある開催日にそこでしか食べられないもの、という視点が抜け落ちている。今や世界的な美食の国、日本なら大抵の旨いものを街中で食べることができるが、ギャンブル場で食べることができるものは限られる。しかも、お祭り気分で食べる楽しさがある。
川崎競馬場には遅い昼メシで食べたタンメン専門店の隣りに、もつ煮込み一本でやっている「志ら井」がある。ここのもつ煮込(500円)を、ギャルがテーブルに運んでいた。その抱えるようにもつを持つ姿が、すでにうまそうだ。
同じ2号スタンドには中華「らーめん坊」、クラフトビールのレストラン「T.T BREWERY」、1号スタンドには「三喜食堂」など十数店舗がある。お腹がふたつあったら…愚食の虫が騒いだ。愚食とは食べ物が目の前にあると食べずにいられないという意味で、勝手に考えた造語だ。
7Rからの後半戦。何を参考に馬券を買うかを検討して、予想紙の印と騎手の2つに絞ってみようかと考えた。
予想紙は見やすさから「ケイシュウ」にし、入念にチェック。川崎競馬3日目は1Rから8Rまで3連単が8連続で万馬券になり、4日目も同18万円台、同83万円台、同48万円台と大穴が飛び出した。夏の大嵐にようになっているのだ。
3日目、4日目をチェックすると、3日目は佐藤典生記者、4日目は清水均記者が好調と思われた。だが5日目は、3連単に無印が絡むレースが続いた。こうなると、印を参考にしていいものかと悩んでしまう。7Rも無印の馬が3着に入り、3連単23万円台の大穴になった。ベテラン記者も苦戦しているのだろう。
8Rも無印の船橋の馬が2着に入って同3万1900円、9Rは3着に△2つの穴馬が入って、同3万3290円に。10Rは2着に無印の馬が入って5万1600円。川崎競馬、やはり一筋縄ではいかない。
騎手もチェックしてみる。8月22日、2日目までのジョッキーのベスト5は①山崎誠(川崎)、②町田尚希(川崎)、③森泰斗(船橋)、④笹川翼(大井)、⑤野畑凌(川崎)。大井、船橋の騎手が一人ずつ入っている。7Rから10Rでベスト5のうち、3連単に絡んだのは9R1着の町田騎手、同2着の笹川騎手、10R1着の山崎騎手だった。ちなみに1Rから10Rまでは山崎騎手と森騎手が2勝、町田騎手が1勝だった。
11Rは11頭立て、左回り900メートル、やまなみ五湖「津久井湖」賞だ。やはり騎手に頼ってみるか。山崎騎手の①ノボベルサイユと森騎手の④サンダーゼウスは1・2番人気だった。これに3番人気⑤プリモジョーカー、配当が大きく上がることを願って6番人気③アスカリと8番人気⑥ゴールデンオパールを絡めたボックス馬券となった。結果は1・2・3番人気のワン・ツー・スリー、3連単は1番人気の1390円。ギャンブラーが最も恐れる的中パターン! ギャンブルあるあるの、当たったと思ったら1番人気の低配当というやつだ。よってこの日は、これにて打ち止め。
11R前にはクラフトビールのレストラン「T.T BREWERY」の生ビール600円、牛すじデミ煮込み650円で喉を潤したが、ほろ酔い気分もどこへやら、だった。
帰りは歩いて3、4分の堀之内を初めて歩いてみた。紅灯はいくつになってもソソられる。競輪のために川崎に通い始めた40年以上前なら、その誘惑に抗うことができただろうか。と思いながらも、足がちょっと止まりかけた…。
南関4場は船橋競馬を残している。最後に一発大逆転を狙ってみよう。
(峯田淳/コラムニスト)