自民党の石破茂元幹事長は8月30日のラジオ日本の番組で、岸田文雄総理が近く行う内閣改造で入閣を打診された場合の対応を聞かれると「国家、国民のためなら『受けません』と言ってはいけない。任命権者の首相に従うべきだ」と述べ、入閣する意向を表明した。改造前に自ら手を挙げるのも珍しい。
石破氏の口から「任命権者の首相に従うべきだ」との発言が出たのを聞いて、自民党内では、
「まさに『お前が言うな』だね」(閣僚経験者)
と冷ややかに受け止められている。
石破氏は安倍晋三第2政権下の2014年の内閣改造で、安倍氏から入閣を打診されたところ、断った経験がある。安倍氏が昨年7月に銃撃された後、石破氏はNHKの取材にこう振り返っている。
「総理執務室で安倍さんと私と1対1だった。『大臣を受けろ』『受けない』という押し問答があってね。『閣内不一致になるから担当大臣は受けられません』って言ったら、安倍さんの激怒が頂点に達するわけね。『そんなんだったら、あなたが総理になったらやればいい』と。捨てゼリフだったね」
結局、石破氏は地方創生担当相になるが、安倍氏が打診した防衛相就任は断った。
石破氏は「ポスト安倍」を目指し、2018年の総裁選に出馬。安倍氏に敗れ、その後は石破グループも解体して、忘れ去られた存在となっていた。前出の閣僚経験者は、
「報道機関の世論調査で『ポスト岸田』の筆頭として名前が出たのを機に、入閣することで復権しようとしているのだろうが、まったく『お前が言うな』だ。石破さんもすでに66歳。後輩に道を譲る時ではないのか」
と渋い顔で語るのだった。