1923年(大正12年)9月1日、11時58分に発生した関東大震災では、東京・横浜を中心に丸2日間にわたって火災が発生した。死者約10万人のうち、約9割が火災で死亡したとされる。
実はこの発生日、日本海側では台風が進んでいた。その影響を受け、関東地方の正午ごろの風速は毎秒8メートルと強く、これが火災を拡大させたと見られている。
さらに甚大な被害をもたらしていたのが、「火災旋風」だ。サイエンスライターが語る。
「火災旋風は火災で発生した大量の熱気が上昇して上空の冷気と混ざり合い、竜巻状の渦が発生。この炎の渦が人や家屋を巻き上げては地面に叩きつけ、犠牲者の数を押し上げました。旋風の高さは最大で200メートル以上。それが竜巻のように移動し、火災をさらに拡散させたのです」
しかも前述の通り、日本海側を進む台風によって関東平野には強風が吹きつけていたため、火災旋風が巻き起こりやすい状態だったことは間違いない。
「地球温暖化によって台風がたびたび発生するようになった今、台風の接近と、いつ発生してもおかしくはない関東直下や南海トラフを震源とした巨大地震の発生が重なる可能性は高くなっている。その際は、火災旋風をはじめとした予想だにしない被害が我々を襲うことになる。国はそうした被害想定も行っておくべきです」(前出・サイエンスライター)
関東大震災から100年。自然災害が単独で起こるとは限らない環境になっていることを、肝に銘じておくべきだろう。
(蓮見茂)