社会

75歳病院院長が45歳年下妻を射殺した深層心理に迫る(2)週末婚のような夫婦生活

 しかし、亜耶乃さんとの新婚生活が始まっても、田園調布の邸宅では、ほとんど暮らしていなかったようだ。

「長い黒髪で、165センチくらいのスレンダーな女性を数回お見かけしましたが、ご主人の姿は一度も見ませんでしたね。家はいつも雨戸が閉まっていて、ゴミ出しもしていなかった。それでも2カ月に1回のペースで植木業者が入り、リフォームの工事があった。正月には、大きな門松が入り口に飾られていました」(別の近隣住民)

 近所づきあいもほとんどなかったセレブ夫妻だったが、近所の飲食店関係者の目撃談の中には、松本さんと連れ立って現れた亜耶乃さんらしき女性は、やはりロングの黒髪で、顔だちは女優の浅野ゆう子似の美人だったというものもある。

 田園調布に生活実態がないのもそのはずで、実際、警視庁によれば松本さんは、横浜桐峰会病院の住所に住民登録していた。前出の病院関係者が説明する。

「救急指定病院としていつでも患者を受け入れられるように、院長みずからが病院に寝泊まりをして対応していました。奥さん(亜耶乃さん)も病院の近くに住んでいたようですが、一緒には暮らしてなかった。休日には田園調布で『週末婚』のような形で会っていたようです」

 医師として、「人間性にあふれ、情に厚く、誰からも慕われる人でありたい」と目標を掲げていた松本さんは、三重大学医学部を卒業後、71年に横浜桐峰会病院を開業する。多忙な日々の中、85年にはプロの演奏家とジャズバンド「松本義峯とストレンジャーズ」を結成。毎年のように瀬谷公会堂でジャズのチャリティコンサートを開いていた。

 仕事に趣味にと充実した日々を過ごしているように思えたが、結婚生活はうまくいかなかったようだ。転職サイトのインタビューでこう答えている。

〈開業後は、診察と救急医療と手術に明け暮れ、家庭を顧みることもできず、とうとう4年前に奥様から愛想を尽かされて離婚されました〉

 病院関係者はこう語る。

「松本さんが30代半ばで結婚した前妻も、病院で働く15歳くらい年下、当時20代前半の元看護師でした。3人の子供と一緒に葉山で暮らしていましたが、仕事が忙しくなってきたことの他に、『母親と一緒に暮らしているほうが楽しいから』といった理由で離婚を選んだそうなんです。それまでマザコンというイメージはなかったので意外でした」

 松本さんの別の知人もこう証言する。

「母親への思いは強い人でした。体調を心配していつでもそばで見られるように、病院に母親の部屋を作って介護をしていたそうなんです。それが、今年1月に母親が他界すると、松本さんも体調を崩して、ふさぎ込む姿が見られました」

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