お笑い芸人の中で、かまいたちのレギュラー本数は今やトップクラスだが、その濱家隆一はキャリア8年目で普通の関西芸人だったころ、大阪府内でも屈指の繁華街である心斎橋で「めしざかや はまいえ」をオープンしていた。
常連客として通っていた居酒屋のビルの2階に空きができ、オーナーから勧められて軽い気持ちで始めた。しかし10カ月ほどしか続かなかった。芸能ライターは当時をこう振り返る。
「ミルクボーイの駒場孝ら、関西で大人気の後輩芸人たちがアルバイトをしていました。そのため、客はほぼ芸人目当てのファン。カルピス1杯で2時間粘られることもあった。赤字続きのためチケット制を導入しましたが、これが大不評。濱家はオーナーに『すみません。ちょっとナメてました』と謝罪し閉店させたんです」
芸人は不安定な職業ゆえ、飲食店経営に乗り出す者が少なくない。ところが、長きにわたって続けられるのはひと握り。やり手起業家だったはずの千原兄弟・千原せいじも大繁盛店を潰している。
せいじは10年に東京・渋谷に居酒屋「せじけん」をオープンさせたのを皮切りに、幡ヶ谷区域内にバー、喫茶店、ラーメン店、ダンススタジオなどを次々と出店。ピーク時には6店舗のオーナーになった。しかし、ほどなく撤退。「せじけん」は特に被害が甚大だった。
同店は、せいじがドラマ「ATARU」(TBS系)に出演していた2012年頃にオープン。俳優仲間が多く来店した。そのうちの1人が、ドラマの主演だった中居正広。さらにバイトしていたメイプル超合金・安藤なつやチャンス大城ほか多くの芸人が売れたため、「出世居酒屋」と呼ばれた。
しかし、せいじがあまり店に顔を出さないことをいいことに、後輩芸人が店の売上金を持ち逃げ。赤字がかさんで、閉店に追い込まれた。
浪速が生んだ借金夫婦といえば、かつみ・さゆり。独身時代の夫・かつみが負っていた借金は結婚後、ピーク時に2億5000万円を超えた。妻のさゆりは美脚で美魔女、奇跡の54歳としてSNSでバズリ中。常に笑顔を絶やさないが、起業してはクローズを繰り返し、借金は完済に至っていない。
「100円ショップは2カ月半、ラーメン店は7カ月で閉店に追い込まれました。ひどかったのはラーメン店。真っピンクの看板が目印で、店内も壁もレンゲも、梅を練り込んだ麺もピンク色。ハート型のミラー、シャンデリアはさゆりさんの好み。味も評判はよくなく、ピンクの店内が夜のサービス店みたいと大不評でした」(前出・放送作家)
安定収入が裏目に出た芸人の飲食店進出。授業料としては高すぎたか……。
(北村ともこ)