先ごろ警視庁は、排気量が125cc以下のバイクについて、速度が出ないように改良した上で原付バイクに含める方針を検討すると発表した。原付バイクは現在排気量が50cc以下と決められているが、この制度が導入されれば原付免許で125cc以下の二輪車に乗れるようになる。
警視庁によると、この制度を検討するきっかけはメーカーの要望で、50cc以下の排気量では今後の排ガス規制強化に対応することが難しく、新車の開発と生産が困難だからだという。
オートバイ誌のライターは原付バイクの特殊性を明かした。
「原付一種にあたる排気量50cc以下の二輪車は、日本独自の『ガラパゴス化』したバイクなんです。2021年の原付一種の売り上げ台数は12万8000台ですが、パイは大きいとは言えません。そんな原付バイクに開発費をかけるのは難しい。ホンダとヤマハは16年に原付一種のスクーターについて業務提携しました。70年代末から80年台にかけて『HY戦争』と呼ばれる熾烈な販売競争を繰り返し、犬猿の仲だったホンダとヤマハが手を握ったことに業界は驚きましたが、逆に言えればそれほど切実な状況だということです」
原付免許で125cc以下のバイクに乗れるようになれば、現在50cc以下の原付バイクに乗っている人が125ccに乗り換えるのは確実。そうなれば50ccの販売は取りやめても問題なくなる。メーカーはこれを目指していると考えられるという。
「日本のバイクメーカーは売り上げの多くを中国やインド、東南アジアに頼っています。これらの地域で人気なのは125ccのバイクで、メーカーは最も力を入れている。日本でも50ccから125ccが主流になれば、開発、製造を海外向けと同時にできます。50ccに割り当てていた資本を125ccに集中できるわけです」(前出・オートバイ誌ライター)
ホンダはすでに50ccだった人気のバイク「ダックス」や「モンキー」を排気量125ccに増やして復活させている。125ccを原付バイクに含める方針は検討が始まったばかりだが、実現するのは予想より早いかもしれない。
(海野久泰)