サッポロホールディングスが、ジャニーズ事務所所属タレントと契約更新しない方針を明らかにした。サッポロは現在、北海道限定商品「サッポロクラシック」のテレビCMにTOKIOの松岡昌宏を起用しているが、このCMも9月15日で放送終了。
すでにジャニーズ事務所と契約更新しないと発表しているサントリー、アサヒ、キリンに続いて、これでビール大手4社全てが「ジャニーズ事務所の出演NG」の横並びとなった。
TOKIOは山口達也が2度も事件を起こし、芸能界を事実上引退。さらに長瀬智也のジャニーズ事務所退所後に、リーダー城島茂を社長とする「株式会社TOKIO」を立ち上げたハズ。なぜトバッチリを受けるのか。
その謎は、公開されている「株式会社TOKIO」の登記簿を見るとわかる。同社設立は2020年7月22日、資本金1000万円、所在地はジャニーズ事務所と同じだ。代表取締役はジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子氏で、城島、松岡、国分太一は取締役に名を連ねるのみである。
視聴者や消費者にはさも城島社長が代表権を持っているかのように発表しながら、実際には城島も他の2人と同じ、ヒラ取締役。結局はジャニーズ事務所内の子会社にすぎず、「株式会社TOKIO」の看板倒れもいいところだ。
このため、サッポロだけでなく農林水産省も、障害者の農業への参加を促す「ワクワクアンバサダー」に任命した城島の活動を当面、見合わせると発表した。
一方、2011年の東日本大震災以降、TOKIOが出演番組などを通じて被災地復興や風評被害払拭に尽力してきた福島県では、TOKIOと連携して福島の魅力を発信する庁内のバーチャル組織「TOKIO課」の継続と今秋以降のCM出演、ポスター掲示も現行通りと発表している。
ジャニーズ事務所の顧問弁護士、法務は日本国内の「ビッグ4」と呼ばれる超大手法律事務所が請け負っているが、全国が唖然としたトンデモ記者会見の前に「株式会社TOKIO」だけでも藤島氏が代表取締役を退任し、ジャニーズ事務所から「足抜け」させていれば、ここまで波及することはなかったのではないか。
ところでビール会社は横並びといっても、「越えられない壁」もあった。
サントリーはジャニーズ事務所に忖度せず、元SMAPの草彅剛、稲垣吾郎、香取慎吾をそれぞれ麦茶やノンアルコールワイン、天然水のCMキャラクターに起用してきた。ところがキリンは今年3月、BBCがジャニー喜多川氏の性加害を報じた「黒船砲」の後に、「午後の紅茶」のCMキャラクターを深田恭子から、Snow Man目黒蓮と中条あやみに代えている。
そしてジャニーズ事務所と契約解除する一方で、今もなお中国によるチベット、ウイグルへの人権弾圧はスルー。所詮、日系企業や法律事務所の崇高な「企業倫理」「人権意識」など、右へならえ程度なのだろう。
(那須優子)