プロ野球は最終盤戦に突入し、セ・リーグは阪神が18年ぶりに「アレ」を達成、パ・リーグはオリックスの3連覇が秒読み段階に入った。そんな中、各球団のフロントは今年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の「マイナス査定」をどう評価するか、頭を悩ませている。
阪神・湯浅京己、ヤクルト・村上宗隆、巨人・大勢とWBC出場組が故障や不調で悩まされ、ペナントレースで満足な活躍ができなかった。開幕前にピークを作る必要があったWBCの悪影響は明らかで、それが考慮されず大幅減俸となれば、球界内では「次回はWBC出場を辞退する選手が増える」との観測が出ている。
阪神Vの功労者は誰か。シーズン途中から湯浅に代わり、抑えに入った岩崎優がシーズンを通して機能した点を挙げる野球解説者は多い。3月にWBCが終わり、チームに合流した湯浅は調子が上がらず、故障も発生。そのまま2軍暮らしとなり、もはや日本シリーズに間に合うかも微妙だ。ヤクルトの村上も昨季の三冠王の面影はなく、チームは低迷した。Bクラスが濃厚な巨人は、抑えの大勢が早期に離脱したことが響いた。在京球団のフロント幹部は、
「日本がWBCで優勝し、あれだけ騒がれました。WBCで明確に『故障した』というわけではないので、主力選手がWBCで壊されたとは、各球団は言いづらい状況です。ただ湯浅、村上、大勢は大活躍した翌年の春の大事な調整時期に、ハードな試合をこなした。どう考えても、今季の不調はWBCの影響です。とはいえ、年俸はシーズンの成績で決まる。各球団ともWBCを理由としたダウン幅の抑制はしません。この3選手はかわいそうですね」
湯浅などは今季の年俸は昨季の9倍だったが、また9分の1に戻るかもしれない。
WBCの興行は読売新聞社グループが中心となっており、この春はウハウハだった。監督を担った栗山英樹氏は時代の寵児となり、年末のNHK紅白歌合戦の審査員の有力候補だが、秋を迎え、泣いている人たちもいるというわけだ。仮にその3選手が大減俸となれば、WBCは出場するだけ損になってしまう。
もちろんソフトバンクの近藤健介や巨人の岡本和真など、WBCの影響などものともしない選手もいる。ベテランのプロ野球担当記者は、
「前年にブレイクした選手、まだ2~3シーズンしか活躍していない選手は選出しないなど、選考方法を考える必要があるでしょう。栗山氏の後任監督が決まらないのも、シーズンが終わらないと総括できないという事情があるようです」
オフは大荒れか、はたして…。
(健田ミナミ)