右肘靭帯を損傷したエンゼルスの大谷翔手が9月19日朝、手術を行ったと自身の公式インスタグラムで明かした。大谷のインスタには公開からわずか6時間で70万人がアクセスし、2万人以上が「いいね」で手術の成功を喜んでいる。
執刀したのは前回2018年秋のトミー・ジョン手術を執刀した、ニール・エラトロッシュ医師。エラトロッシュ医師は現地メディアに対し「大谷は2024年の開幕までに打者としての準備が整い、25年には投手復帰もできる」と見通しを明かした。
エラトロッシュ医師は、上腕の骨に穴を開けて自らの腱を損傷した部位にかぶせて移植する「トミー・ジョン手術」を編み出した、故フランク・ジョーブ博士の弟子。生前、ジョーブ博士が契約していたロサンゼルス・ドジャースの医療コンサルタントの後継者に指名されたことからも、ジョーブ博士の信頼が厚かったことが伺える。
現在はドジャースだけでなく、NFLロサンゼルス・ラムズのチームドクター、NBAのスーパースターたるコービー・ブラアントの主治医を兼任するスーパー整形外科医。ルックスもアメリカの医療ドラマから抜け出してきたようなイケメンで、シルベスター・スタローンの公式インスタグラムでは、エラトロッシュ医師を「法律上の弟はアスリートを治してきた整形外科医で、ドジャースのチームドクター」と紹介。スタローンの誕生日パーティーで2人一緒にくつろぐ写真を見ると、ハリウッド俳優のようだ。
エンゼルス広報は大谷が受けた手術について具体的に説明していないが、手術から半年で打者復帰できることから、現地メディアは「トミー・ジョン手術」ではなく、人工靱帯を補助具(インターナル・ブレイス)で固定する「インターナル・ブレイス術」だろうと報じている。ツインズの前田健太が2021年に受けたのは、自らの靭帯を修復した上でこの人工靭帯を被せる「ハイブリッド手術」になる。
一般論としてトミー・ジョン手術は、足の腱を移植することで傷んだ腱を補強する上に腕力が増す反面、肘関節の骨に穴を開けて固定するので回復が遅く、2回目以降の手術成功率が落ちると言われる。一方、インターナル・ブレイス術は、人工靭帯をインターナル・ブレイスという補助具で固定する分、負担は少なく早期復帰が可能だが、人工靭帯の強度と長期成績に不安がある。
人工靭帯が大谷の投打二刀流の酷使と、大谷の筋力に耐えうるのか。懸念は残るが、大谷の決断を信じるしかない。
エンゼルスは大谷の手術の詳細を把握しておらず、大谷との間に完全に「秋風」が吹いている。ドジャーズに移籍してチームドクターのエラトロッシュ医師に経過を診てもらうのが「大谷復帰のベストシナリオ」に思えるのだが…。