清原和博氏の来季ヘッドコーチ就任報道に、中日ナインはことのほか喜んでいるという。一部スポーツ紙が9月20日付の紙面で「貧打解消へ劇薬プラン」と報じたのだ。中日の親会社である中日新聞、中日スポーツの記事ではない。球団関係者の一部が観測気球的な意味合いでリークした側面もあるのだが「これでチームの風通しがよくなり、少しはまともになるはず」という声が出ているのも事実だ。スポーツ紙遊軍記者が言う。
「別に清原氏の打撃理論が歓迎されているわけではありません。ただ、清原氏なら独裁者と化した立浪和義監督の抑止力になってくれるはず、との期待感からです。今や立浪監督の独断専行を止められるのは、PL学園の先輩である清原氏ぐらいですからね」
昨年、今年と春季キャンプには立浪監督の要望で、清原氏が「臨時コーチ」として招聘され、指導した経緯もある。
現役時代からコワモテで知られる清原氏だが、高校時代から取材するスポーツライターが言うには、
「薬物に走ったことでも分かるように、本来は気の弱い性格で、目上の人間には逆らえない。その逆に年下、後輩にはめっぽう強い。選手がおだてれば、不満を代弁してくれるのは間違いない」
ただ、リスクは間違いなくある。仮に立浪監督の援護に回った場合、他の首脳陣やナインは、今季まで以上の地獄を見るハメになるからだ。
「清原氏がヘッドコーチになった場合、今の首脳陣で対等に口をきけるのは、シニアリーグ時代から顔なじみで同学年の西山秀二バッテリーコーチだけ。他のコーチでは対等に話せない。恐怖が2倍になる可能性もあります」(前出・遊軍記者)
来季も開幕からチームが不振を極めれば、立浪監督が途中休養し、「清原ヘッドコーチ」が監督代行を担うケースが出てくるかもしれない。その場合、勝率が上がるかどうかは別として、興行的にプラスになるのは間違いない。
清原氏の役割は、客寄せパンダの意味合いが強いということなのか。加藤宏幸球団代表は清原氏の招聘について「そのような事実はありません」と否定したが、中日がどこまでチーム再建を考えているのか、疑わしい。
(阿部勝彦)