近年、JR東日本をはじめとした鉄道会社各社は頻繁に車両撮影会を開催している。これは車両基地に撮り鉄が好む車両を並べ、撮影させるというもの。普段使われないヘッドマークを掲げることもあり、有料だが盛況となっている。鉄道会社にとっては副収入を得ることができ、「撮り鉄」にとっては堂々と貴重な車両を撮れるとあって、双方にメリットがあるのが頻繁に行われている理由だ。
そんな車両撮影会が盛り上がる中、ついに究極とも言える撮影会が登場した。終電が発車した後の大宮駅の実際のホームを使った撮影会だ。
JR東日本のプレスリリースによると開催日時は10月21日と11月18日で、撮影できる時間は深夜1時から4時10分まで。7番線に停車したE233系かE231系車両を、隣の8番線から撮影できるという。三脚か一脚の利用もOK。料金は2万円で1回あたり20名を募集する。
実際のホームを使った車両撮影会とは驚かされるが、撮り鉄が受けた衝撃はとてつもないという。理由を鉄道ライターはこう説明する。
「宇都宮線や高崎線など多くの路線が通っている大宮駅は、撮り鉄にとっての聖地だからです。特に夜は三脚を立ててバルブ撮影(シャッターボタンを押している間シャッターが開きっぱなしになる撮影方法)ができるので、多くの撮り鉄が集まります。集まりすぎてホームが騒然となり、駅員と撮り鉄でトラブルになったことも1度や2度ではありません。YouTubeで『大宮 罵声大会』と検索すると、撮り鉄が叫び声を上げる動画がたくさん出てきます。いわば大宮駅のホームは駅員と撮り鉄の戦いの場なんです。そんな場所が撮影会になるとは…。しかも今はホームでの三脚の利用は禁止されているのに、撮影会では許可したのも驚きました。JR東日本は思いきったことをしたなという印象です」
ただ、撮り鉄から驚きの声が上がると同時に、もう1つ飛び出したのは「参加する撮り鉄はいるのか」という声だ。
「普段なら立ち入れない終電後の駅で三脚を使って3時間にわたって撮影できるとはいえ、2万円は高すぎます。しかも撮影できるのは珍しくもないE233系かE231系。通常であれば使用しない行先表示を掲げるとのことですが、それだけで撮り鉄が集まるかどうか…。参加する人がいないと見越して、思い切った内容にしたのではないかと勘ぐる人さえいますね」(前出・鉄道ライター)
これをきっかけに、撮り鉄にとって大宮駅のイメージが変わるのか。当日に注目だ。
(海野久泰)