スポーツ

岡田阪神「モヤモヤ狂騒曲」(8)チーム一丸となり巨人を圧倒した!

 だが、しかし、さりながら今季の岡田は「勝つ野球」を実践した。ようやく、やっと、とうとう「新しい伝統」が芽吹きそうだ。

 さすがは岡田、えらい!

 小林と岡田は4年、阪神で同じ釜の飯を喰っている。ひょっとして、岡田は小林から〝憎っくき巨人〟に息づいていた哲学を聞かされていたのだろうか。

 そんな夢想はさておき、岡田が掲げたチームスローガンA・R・Eの真ん中にRespectを置いたのは「野球、先輩への敬意」のみならず、賢夫人の陽子さんのアドバイスもあり「技術だけでなく伝統を継承していく」という想いを込めているという。

 岡田が紡いでいく「伝統」は過去の悪しき歴史の繰り返しであってはならない。

「普通にやる」

「当たり前のことを当たり前にやる」

 岡田野球は堅実そのもの。だが、決して地味にあらず。攻守の密度が濃くてスリリング、試合終了まで飽きさせない。際立った存在なしに組織力で勝利に邁進、その一体感が心地よく心強い。このチームは阪神球団史において明らかに異色だ。

 好例は18勝6敗1分だった巨人戦、冥土の小林だって刮目するはず。チーム一丸の岡田野球が、妙手に欠けた采配と杜ず 撰さんなプレー、弱体ブルペン陣の巨人を圧倒した。過去の両球団の試合ぶりが正反対になった。

 さすがは名将岡田!

 とはいえ、この智将が早晩、身を引くと報じた新聞記事は気にかかる。

 江本孟紀なんぞは、73歳でワールドシリーズを制したダスティ・ベーカーの向こうを張れとゲキを飛ばしているけれど‥‥監督業はしんどい。試合中、岡田が頻繁に帽子をとったり首を左右にしているのをみるにつけ、過度なストレスによるチック症状ではないかと心配でならない。

 あと数年、最悪なら来季限りという短い時間で阪神の黒い歴史を塗り替え、新たな伝統をつくりえることができようか‥‥私のモヤモヤは膨れあがる。

 例えば次代のミスタータイガースを切望する声への懸念だ。阪神のスター主義は、いつもライバル対立構造を描き、フロントまで巻き込んでしまう。

 杞憂のタネは佐藤輝明、アイブラック兄弟と命名され、森下翔太を子分に従え得々としてはいけない。大山や近本光司、木浪聖也らと敵対せぬよう、佐藤は岡田の激怒をかった性根を徹底的に叩き直すべし。彼が大砲の地位を確立した時、新しい阪神の伝統の体現者になっていてほしい。

 野球も人生と同じく、いい時ばかりではない。負ければ賊軍、マスコミやネットは簡単に手の平を返す。岡田が石もて追われる姿を二度とみたくない。ビギナーGGE(爺)の雄・岡田彰布がモヤモヤを蹴散らしながら拓く道、私は陰ながら応援を惜しまない。

【参考資料】別冊宝島397「プロ野球名選手読本」、同437「プロ野球〈猛虎復活〉読本」(いずれも宝島社)。

増田晶文(ますだまさふみ・作家):昭和35(1960)年大阪生まれ。最新刊に時代小説「楠木正成 河内熱風録」。2025年のNHK大河ドラマの主人公を描く「稀代の本屋 蔦屋重三郎」(ともに草思社)も好評。

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
上原浩治の言う通りだった!「佐々木朗希メジャーではダメ」な大荒れ投球と降板後の態度
2
フジテレビ第三者委員会の「ヒアリングを拒否」した「中居正広と懇意のタレントU氏」の素性
3
3連覇どころかまさかのJ2転落が!ヴィッセル神戸の「目玉補強失敗」悲しい舞台裏
4
ミャンマー震源から1000キロのバンコクで「高層ビル倒壊」どのタワマンが崩れるかは運次第という「長周期地震動」
5
巨人「甲斐拓也にあって大城卓三にないもの」高木豊がズバリ指摘した「投手へのリアクション」