因縁対決を前に、岡田監督の寝覚めが悪くなるトラウマはまだある。05年にロッテに惨敗した日本シリーズの一件だ。スポーツライター・飯山満氏が解説する。
「ストレート負けの4戦トータルで、33対4の大差で敗れました。アナリストが集めたデータを駆使したバレンタイン監督(73)の采配に手も足も出ませんでした。全盛期の藤川球児(43)でも、配球が丸裸で打たれてしまいました。岡田監督としても思い出したくないのでしょう。評論家時代にも、05年のスコアについては触れたがりませんでした。短期決戦への苦手意識が芽生えたのか、07年からセ・リーグで導入されたCSでも、退任するまで2年連続でファーストステージ敗退となっています」
今季の阪神最終戦は10月1日予定。CSファイナルステージの第1戦が10月18日と、2週間以上のブランクが空く。それだけに、またもCSで辛酸をなめる悪夢がよぎる。05年の日本シリーズに出場した阪神OBの桟原将司氏が語る。
「きちんとコンディションを整えてCSに臨むと思います。05年もシーズン最終戦から日本シリーズまでに2週間以上ありました。当時はセ・リーグにCSが導入される前で、フェニックスリーグに派遣された一部の主力以外は、甲子園でのシート打撃などの実戦練習が主で、どうしても試合勘が鈍ってしまいました。この時の教訓を生かして対策を講じるはずですよ」
もっとも、投手陣のコンディションを懸念する声は絶えない。飯山氏によれば、
「今季ブレイクした若手投手のガス欠が指摘されています。とりわけ、開幕から31イニング連続無失点の離れ業をやってのけた村上頌樹(25)は1年間の勤続疲労に不安がある。ここ最近は球速表示以上に球威が落ちているのか、相手打者に捉えられる投球が増えてきました。同様に昨季の現役ドラフトで加入した大竹耕太郎(28)もフルシーズンを経験したことがない選手の1人ですからね」
かといって、ベテラン投手陣に期待できるわけでもない。
「昨季までエース格だった青柳晃洋(29)や西勇輝(32)は今季、安定感を欠いてしまっている。CSでアドバンテージ+3勝をするためには、伊藤将司(27)、才木浩人(24)に次ぐ3人目の投手が肝要になる。岡田監督はシーズン前から主軸に固定することを公言していた佐藤輝明(24)でも、調子が悪い時期は2軍に落としました。投手においても聖域はないはずです。CSまでに時間だけはある。結果を残した若手や外国人がCSの登板機会を得るかもしれません」(飯山氏)
にっくき相手を叩き潰すシリーズにコマを進めるため、情を優先していては短期決戦では勝てない。心を鬼にして指揮官はポストシーズンに立ち向かうのだ。