勝てなかったのか、それとも負けなかったとみるべきか──。
阪神タイガースの2勝0敗で迎えた6月5日の対ロッテ第3戦は、延長12回を戦って7-7の引き分けに終わった。
この試合、序盤は阪神のペース。目下5連勝中と好調のロッテ先発・小島和也の立ち上がりを攻め、1回裏無死一、三塁からノイジーの併殺打の間に1点を先制。前回5月26日にプロ入り初勝利を挙げたばかりの先発・桐敷拓馬を盛り立てる。
3回裏にはその桐敷のプロ初安打から二死二塁とし、ノイジーのタイムリーで追加点。4回裏にも佐藤輝明の三塁打から梅野隆太郎のタイムリーと、小刻みに点を重ねた。
桐敷は2回表、無死満塁のピンチを切り抜けると4回まで1安打ピッチングだったが、勝ち投手の権利がかかった5回表につかまり、3安打と3四球で4失点。逆転されて5回途中に無念のKOとなった。
試合はここから逆転、また逆転の展開に。阪神は5回裏、一死一、三塁から4番の大山悠輔がレフトへのスリーラン本塁打で6-4と逆転した。
「プロ野球ニュース」(フジテレビONE)に出演した野球解説者の大矢明彦氏は「インローの真っ直ぐ。ロッテのバッテリーが攻め込んだ1球だったけど、見事にはね返した」と大山の一発を絶賛した。
7回表、この回からマウンドに立った阪神3番手の浜地真澄は一死一、二塁から山口航輝にスリーランを浴び、ロッテが再度逆転。阪神は8回裏、代打・島田海吏のヒットと木浪聖也の二塁打で一死二、三塁とチャンスを作ると、代打・渡辺諒の遊ゴロで三塁ランナー島田が生還し、7-7の同点とした。前進守備のショート・友杉篤輝のバックホームは一塁方向へ少しそれたが、「島田の走塁が素晴らしかった。少し回り込みながら(タッチをかいくぐった)」と大矢氏。
試合はそのまま延長に突入したが、7-7の引き分けに終わった。はたして阪神は勝てる試合を勝てなかったのか、それとも負け試合をなんとか引き分けに持ち込めたのか。
岡田彰布監督は5時間7分の死闘の後、「そりゃゲーム展開的には勝ちゲーム、勝ちパターンやろ」と徒労感をにじませた。
勝利の方程式として登板させた浜地が先頭打者の打球を右足首に受けた後も続投したものの、逆転3ランを浴びた場面について、岡田監督は「(直撃が)影響したら投げられへんやろ。あそこでいちばんアカンことをやるわけやからな、結局は」と指摘した。
スポーツ紙デスクが言う。
「桐敷は4四球、浜地も四球が失点につながっていますからね。特になかなか調子が上がってこない浜地は再度、2軍での調整もありうる」
チームは9連戦の真っ最中。6日は午前中の便で仙台に移動して楽天との3連戦、さらに札幌で日本ハムとの3連戦が待ち受ける。
「ロッテ戦は2試合が延長にもつれ込む展開。6月3日は5人、5日は7人の中継ぎ投手を使っています。楽天3連戦に先発予定の村上頌樹、西勇輝、伊藤将司の3人には、完投に近いイニングを投げてほしいと、岡田監督も願っています」(前出・スポーツ紙デスク)
阪神の踏ん張りどころである。
(石見剣)