18年ぶりにセ界の頂点を射止めた阪神と、3年連続でペナントレースを制したオリックス。順当にCSを勝ち抜けば、日本シリーズで59年ぶりの関西ダービーが実現する。ところが、そうなれば両チーム間の積年の意趣遺恨が大爆発することになるだろう。まさに、場外乱闘待ったなしの局面を迎えている。
アレは遡ること12年9月25日。京セラドームの監督室で球団本部長から〝非情通告〟が言い渡された。チームは「新・黄金時代へ」というスローガンもむなしく、前日にシーズン最下位が確定。そればかりか、球団史上最悪の12連敗にリーチをかけるドン底ぶり。その日のナイターゲームからお払い箱となったわけだ。試合前にドームの地下駐車場に現れた指揮官は、ユニフォームに着替えるつもりで白いポロシャツ姿だったが、
「なんも知らんかったからな。だからこんな格好よ。ネクタイぐらい締めとけばよかったわ」
と、記者団に苦笑い。だが、ぼんやりと見開かれた目元からは表情が読み取れない。それもそのはず、踵を返した丸い背中には哀愁以上に〝不機嫌オーラ〟が漂っていたのだから─。
「メンツを潰された復讐心をメラメラ燃やしとるよ」
在阪メディア関係者がこう明かすは阪神・岡田彰布監督(65)の決戦前夜の心情である。15年ぶりに縦ジマのユニフォームに袖を通して、ペナントレースを独走。2位以下を大きく引き離す「圧勝劇」のまま、18年ぶりのリーグ制覇に導いた。「アレ」の次は「ソレ」と言わんばかりに、せっかちな指揮官の視線はパ・リーグを制した〝古巣球団〟に向けられているというのだ。在阪メディア関係者が続ける。
「10〜12年に監督を務めていた、オリックスへの不信感が残っとるみたいよ。12年9月22日にBクラスが確定して、来季の契約を更新しないことが告げられたんやけど、この時点ではシーズン終了まで指揮を執らせる方針やった。ところが、シーズン最下位が決まった途端に方針転換よ。ラスト9試合を残して、岡田監督と高代延博ヘッドコーチ(69)の休養が発表されたんや。しかも、当人たちにはその瞬間まで事前連絡は一切なし。シーズン中は球場に一歩も入れない〝出禁〟まで食らわされる始末やったわ」
屈辱を強いた相手に怒り心頭なのも無理はなかろう。しかしながら、同情できない事情もチラついていた。
スポーツ紙デスクが解説する。
「オリックス時代から、岡田監督は『1を聞いて10を知る』ができないと機嫌を損ねてしまう〝イラチ〟でしたからね。当時は、メンタルを病んでしまう選手や裏方スタッフが目に余りました。監督末期には選手たちが一丸となって、ミーティングをボイコットしようとする動きまで起きるほどでした。それを受けて、当時の球団本部長が監督解任に動いたといいます。今でも元選手の裏方や背広組に〝岡田アレルギー〟は一定数いる。まぁ、10年にスタメンに定着してホームラン王を獲得したT−岡田(35)やクローザーに配置転換されて才能が開花した平野佳寿(39)などは、岡田監督に恩義を感じているのでしょうが‥‥」
結果、両者の因縁は4000日以上もくすぶり続けることになる‥‥。