もしかすると、このまま潰されてしまうのか。巨人の守護神、大勢のことである。
今季のプロ野球を見渡すと「WBC後遺症」と思われる選手が不調に陥り、その実力を発揮できなかったり、戦線離脱したりという光景が見られた。大勢もまたしかり、だ。
「投げ方を見ると、まだヒジに負担がかからないようにと、無意識のうちに気にしていますね。スピードは戻っていますが、腕の振りが戻っていません。万全ではないにもかかわらず、クライマックスシリーズ進出の起爆剤として、にわか仕立てで復帰させてしまいました。ケガを再発させないためにも、今シーズンはもう投げさせない方がいいですよ」(球団関係者)
右ヒジのコンディション不良に見舞われた大勢は、9月17日のヤクルト戦で戦列に復帰。2-1で迎えた9回に86日ぶりに登板し、一死三塁から1失点。9月21日の阪神戦では5点リードの9回に登場すると、ミエセスにソロ、佐藤輝明に2ランを被弾した。8球で3安打2被弾3失点で、一死も取れずに降板しているのだ。
チーム内では、1軍投手チーフコーチからナゾの肩書きへと「降格」になった桑田真澄ファーム総監督の1軍コーチ復帰を願う声が出ている。
「昨年、最新のコンディション学の観点から、過度な連投を防ぐようにと、原辰徳監督に進言しました。その結果、『回またぎ』や『3連投』をめぐって原監督と対立し、1軍コーチからファーム総監督へと追いやられたのです。若手投手の中には、身を挺して守ってくれた桑田ファーム総監督に忠誠を誓う者もいるなど、いまだに慕われています。もちろん、大勢も『桑田派』ですね。もし桑田コーチなら、こんな急ごしらえの中途半端な1軍復帰はさせていないでしょう」(スポーツ紙デスク)
自力でのCS進出は消滅した。将来を考えて、じっくりと調整させてはどうか。
(田中実)