巨人が10月16日、来季のコーチングスタッフを発表した。阿部慎之助新監督を含め1~3軍総勢26人の大所帯で、打撃コーチについては後日発表となる。
最大の注目は桑田真澄2軍監督が決まったこと。今季は「ファーム総監督」という名ばかりの名誉職で完全なる閑職だったことを考えると、事実上の「昇格」と言っていい。
「巨人の2軍監督というポストは1軍のヘッドへの登竜門でもあります。指導者として期待している人材を充てる伝統があるんです」(巨人担当記者)
阿部新体制でのヘッドコーチのポストも注目されていたが、3歳上の二岡智宏・前2軍監督がやはり「昇格」している。
その桑田2軍監督は巨人軍との「火種」の歴史がある。現役時代には登板日漏洩疑惑や不動産トラブルによる「借金」があった。当時球団のオーナーだった読売新聞・渡辺恒雄主筆が「俺が肩代わりしている(桑田の負債)17億円の借金はどうなるんだ」と激怒していたことが報じられたのは有名な話。
その渡辺主筆は今、球団からは離れており、そこで原辰徳前監督が「私が野球界で非常に気になっている存在います。それは桑田真澄です」などと山口寿一オーナーに直談判して2021年に1軍投手チーフコーチ補佐として入閣させた。その原前監督とも投手起用法に巡って仲違いとなり今季は閑職となったが、見事に2軍監督に復活したというわけだ。
今年の夏、二岡2軍監督がコロナになり休養した際もこんなことがあった。
「桑田さんは自分が2軍監督代行として指揮をとる気満々でしたが、全権を持っている原さんが指名したのは、プロ野球で選手経験がなく東海大つながりでバリバリの『原派』の安藤強2軍総合コーチ(来季から2軍ヘッドコーチ)でしたからね」(巨人担当記者)
いずれにせよ原前監督が消え、桑田2軍監督がニンマリであることは間違いない。
(小田龍司)