南米ペルーの世界遺産「ナスカの地上絵」。これがAI技術により新たに4点が特定されたと、山形大学などの研究グループが発表したのは今年6月だった。この地上絵は2019年の「人型の地上絵」に次ぐ、脚、魚、鳥で、むろん初公開。今後、研究チームはペルー文化省と連携し、地上絵保護活動を行っていく予定だという。
「ナスカの地上絵」については、雨乞いの儀式だったという説から、宇宙人が飛来するための目印だったという説まで幅広く唱えられているものの、いまだ原因解明に至っていないことから、謎多きオーパーツとしてその名を世界に知らしめている。
オーパーツというのは、英語の「out-of-place artifacts」の略。つまり、発見された場所や時代が全くそぐわない「場違いな工芸品」という意味だ。現存するオーパーツの中でも、いったい誰がどうやってその場所に置いたのか、最大の謎とされているのが、中東のレバノンにある宗教都市バールベックで、ジュピター神殿の土台として使われている3つの石「バールベックの巨石」である。古代文明研究家の解説を聞こう。
「この石は通称『トリリトン』(驚異の三石)と呼ばれる組み石で、重さは650トンから970トンもある。建造物に使われた石としては、世界最大とされています。中でも『南方の石』と呼ばれる巨石の重さは、なんと2000トン。しかも石切り場から1キロも離れた場所に存在するため、そこまで運んできたことになる。かつて英BBCが実証実験を行ったところ、丸太を使っても、切り石を1日1マイル(1.6キロ)移動させるのに、970トン級の巨石で1万5000人の運び手が必要になることがわかりました。南方の石の場合は、3万2000人が必要になることから、運搬不可能な巨大オーパーツとして、いまだその存在は謎とされているんです」
しかもこの南方の石については、下部が地下の岩盤に繋がったまま動かされた形跡がないため、元々そこにあったのではないか、という説もあるのだが、
「つまり、この巨石が存在している場所が、そもそも石材を切り出す石切り場だった、というものです。動かせないため、地上に露出している部分のみを四角く加工したのだと。ただ、これも決定的な証拠がないことから、謎が謎を呼ぶ結果になっています」(前出・古代文明研究家)
現代文明をもってしても、解き明かすことができないままなのか…。
(ジョン・ドゥ)