2024年夏に行われる予定の東京都知事選での3選に向け、小池百合子知事が着々と準備を進めている。懸案の明治神宮外苑開発問題では、開発業者の三井不動産などと「密約」をかわし、樹木伐採作業などを来年に延期した。が、気がかりなのは、野党統一候補として東京新聞の名物記者・望月衣塑子氏が出馬したら「神宮外苑問題に絡み、大逆風が吹く可能性がある」と言われていることだ。
神宮外苑開発をめぐっては、故・坂本龍一が反対の手紙を送っていたが、小池氏は「事業者にも手紙を送ったら」とガン無視した。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関であるイコモスが計画の即時中止を求めても、「かなり一方的な情報しか入っていないのではないのか」と反論。だがサザンオールスターズが新曲の歌詞で外苑再開発に疑義を投げかけ、作家の村上春樹氏も反対している。
仮にこの構図が来夏の知事選に持ち込まれ、坂本・サザン・村上連合と小池知事との戦いになれば、さすがに小池氏の勝ち目はない。だが坂本・サザン・村上連合の旗印となる候補がいなければ、小池知事は逃げ切ることができる。小池知事周辺に詳しい都庁関係者は、
「立憲民主党、共産党に底力はないため、有力な人物が野党統一候補でまとまることはないだろう、とみています。ただ、警戒しているのは望月記者です。映画のモデルにもなり、舌鋒鋭い女性候補。リベラルな発言を繰り返しており、無党派色の濃い野党統一候補になる可能性があると…」
神宮外苑再開発は三井不動産を代表とする事業者4者が9月29日、高木の伐採本数を減らすことを盛り込んだ環境影響評価(アセスメント)の見直し案を、都の審議会に届け出る意向を明らかにした。早ければ9月から周囲の高木伐採が始まる予定だったが、年明け以降に先送りとなった。都議会の野党議員が言う。
「小池知事と事業者側が相談し、いったん世論を冷まそうということだと思います。世論の動向、衆院選の時期などを計算し、神宮外苑再開発問題の取り扱いを含め、これから3選に向けての戦略を練り直すのではないでしょうか」
小池氏を脅かす対抗馬の出現なるか。
(健田ミナミ)