国会で罵声答弁を繰り返す安倍晋三総理。暴発は閣僚スキャンダルだけが原因ではない。11/16に行われた沖縄県知事選の結果で辺野古移設問題が再炎上することは必至。加えて消費税増税のタイミングは政治人生をかけた憲法改正にも影響する。最大の分岐点にさしかかった総理の心は千々に乱れている。
「ただいまの質問はね、私、見逃すことはできませんよ! 重大な名誉毀損ですよ。議員として恥ずかしいと思いますよ。まるで犯罪者扱いじゃないですか!」
4日の参院予算委員会で、こう声を荒らげ答弁した安倍晋三総理(60)。社民党党首・吉田忠智参議院議員(58)が07年9月29日号の「週刊現代」に掲載された「安倍晋三首相『相続税3億円』脱税疑惑」を読み上げたところ、大爆発したのだった。
7年も前の記事を総理の追及に使う吉田氏の政治家としての資質は問われてもしかたがないところだ。しかし、吉田氏が涙目になってうなだれるまで追い込む安倍総理も大人げない。
どうも最近、安倍総理の様子がおかしくはないだろうか──。
この5日前の10月30日の衆議院予算委員会では、民主党の枝野幸男衆議院議員(50)の質問に対して、
「今日の朝日新聞ですかね。これはねつ造です」
と言い、不気味な笑顔を浮かべた安倍総理。さらに追及する枝野氏にはこう切り返した。
「殺人や強盗や窃盗や盗聴を行った革マル派活動家が主導的な立場に浸透していると見られる団体から、枝野議員は約800万円献金を受けていた」
格上の相手に挑む若手議員のような答弁を、自民党の総裁であり総理大臣が行うというのは、どう考えても正常な状態には見えなかった。官邸の安倍総理の側近も10月中旬からの変化をこう証言する。
「冗談を一つも言わない」
一連のご乱心の理由を、政治評論家の浅川博忠氏が解説する。
「第一の理由は北朝鮮の拉致問題解決が進んでいないことです。本当ならば9月中下旬には一歩前進していると思っていたのが11月になっても進展していません。もう1つは9月3日の改造人事の失敗です」
うちわ問題を追及された松島みどり前法相(58)。政治資金収支報告書への2600万円の記載ミスが露呈した小渕優子前経産相(40)。女性の社会進出は安倍政権の目玉政策だが、その中心議員がダブル辞任となった。小渕氏にいたっては現在、検察が捜査、議員辞職が必至の状況だ。さらに小渕氏後任の宮沢洋一経済産業相(64)は就任直後に「SMバー問題」が露呈した。ジャーナリストの鈴木哲夫氏がこうアキれる。
「スキャンダルの質があまりにもお粗末です。意図的に帳簿から消して流用していたということではなく、単なる記載ミスですよ。SMバーに行ったっていいけど、領収証を出しちゃダメでしょ。うちわも含めて、あまりにもバカバカしい」
そんな足元の大火を鎮めようと官邸は、ある作戦に打って出た。