当選後、翁長氏を含めて沖縄に起こる動きを鈴木氏が予想する。
「翁長さんは知事としてアメリカに乗り込み、陳情をするようです。政権にとってはすごく困ったことになるし、日米関係に与える影響も大きい。同時に知事は国に埋め立て計画の撤回と計画の変更を要請し、国は当然、拒否するでしょう」
そうなれば知事は国に対して行政訴訟を起こすことになる。地裁から始まって高裁、最高裁と裁判は続くが、裁判中も工事は進む。そこで知事は仮処分の申請をする。解決するまで2~3年の時間が必要となる泥沼の展開だ。
「政府は工事を強行するでしょう。反対派との激しい闘争が始まり、沖縄は『成田闘争』のようになって血の雨が降る可能性が出てきました」(鈴木氏)
期待されたアベノミクスは株価ばかりを押し上げて、庶民が好況感を感じることもない。消費税8%の影響で消費は冷え込み、8月に発表された4─6月期のGDP速報値は、実質年率でマイナス6.8%となった。バブル崩壊や震災直後のマイナス5%を大きく上回る数字であり、年末になってもその爪痕が消える気配はない。
あまりにも稚拙な閣僚スキャンダルも手伝って、安倍総理のフラストレーションは高まるばかり。そのせいか、持病の「潰瘍性大腸炎」が悪化しているという。
「安倍さんの現在の悩みを私は『4K』と読んでいます。第1が進まない『北朝鮮』の拉致問題です。第2に閣僚スキャンダルを噴出させた『改造人事』。第3が一向に上向かない『景気』です。どれも思わしくなく政権支持率が下がってくれば第4の『健康』がさらに悪化します」(鈴木氏)
しかも沖縄知事選によって安倍総理は5つめの「K」である「基地問題」を抱え込むことになるのだ。
12月に安倍総理は来年10月に消費税を10%にするかの判断をしなければならないのだが──。
「実は安倍さんは、第二次政権で最大の分岐点に入ったのです。今回、消費税を見送れば支持率は上がります。しかし、先延ばしにすれば1年から1年半後にまた決断をしなければなりません。でも、その時、安倍政権は悲願の憲法改正に着手しているのです。消費税増税で支持率を下げた状態で憲法改正ができますか? できませんよね。本当は今でも消費税を上げたい。安倍政権は行くも地獄、戻るも地獄のきわめて大きな分岐点に立っているのです」(鈴木氏)
憲法改正は総理の政治人生の総決算である。その意をくんでなのか、7日、閣議後の会見で麻生太郎財務相(74)はこう語った。
「予定どおり上げたほうがいい」
増税前倒しが必至の状況となっている。