“政界の師”である元総理が公の場で「即時ゼロ」という言葉を使ってまで、現総理に「エネルギー政策」の転換を求めた。この異例の事態に、永田町では「元総理の真意は『脱原発』とは別のところにあるのでは‥‥」とささやかれ始めている。そんな中、元総理の提言の裏で「北方領土返還」の“密約”が蠢いているとの情報をキャッチした。
「ここで、もし安倍総理が原発ゼロにして、自然を資源にする国家を作ろうと方針を決めれば、反対派はもう反対できませんよ」
11月12日、日本記者クラブで会見した小泉純一郎元総理(71)は、またしても「脱原発」を訴えた。
これまで講演などで話してきた小泉氏の主張は一貫しており、今回も同様であった。
その主張を要約すると、核廃棄物の最終処分場がない現状で、原発を稼働させるのは無責任である。原発にかけてきた金をクリーンな再生可能エネルギーの開発へと回すべきだ。日本人は何度もピンチをチャンスに変えてきた。今回の原発災害もチャンスに変えられる──ということになる。
しかし、今回は久しぶりに410人もの報道陣に囲まれたせいか、小泉氏はヒートアップ。冒頭のように、安倍晋三総理(59)を名指しして、「即ゼロ」という言葉を使ってまで、政策転換を提言したのだ。
しかも、記者からの質問に答えて、こう主張した。
「(命をかけた)郵政民営化の比じゃない。(脱原発は)壮大な夢がある」
その一方で、新党の結成や脱原発派との連携を否定。小泉氏自身が議員に戻る気はないことを繰り返した。会見以前に、社民党の吉田忠智党首(57)と会談しているにもかかわらずだ。
小泉氏の一連の言動に、政府与党や永田町の議員たちは「何をしたいんだ?」と、真意を計りかねている。
その戸惑いは、自民党の石破茂幹事長(56)の発言からもわかる。10月に小泉氏の脱原発講演が話題となると、「我が党の政策は変わらない」と発言していたのに、小泉氏の会見直前には「原発依存度を下げていく。目指す方向は一致している」と方向転換。そして、11月15日になると、「具体論がなければ、単なるスローガンにすぎない」と再び小泉氏を斬って捨てたのだ。
そして、小泉氏の真意を巡り、永田町では多くの憶測が乱れ飛んでいる。
その一つに、小泉氏の背後にささやかれている米石油メジャーの存在だ。現在、国内の原発は全て停止しており、火力発電などで電力を賄っている。その代替燃料費が年間4兆円となっているのが現状だ。
つまり、原発が停止している間に、日本に石油を輸出したい米企業の“手先”に小泉氏がなっているというものだ。
しかし、永田町関係者は違う見方をする。
「いくら小泉氏が親米派だったとはいえ、国富を他国に流出することに手を貸すわけがない。国益のために脱原発を唱えているはずです。米国ではなく、ロシアへのアピールであり、『北方領土奪還』のために、小泉氏はエネルギー政策の転換を求めているのです」
いったい、どういうことなのか──。