今週のメインは秋のGⅠ第2弾となる秋華賞 。3歳牝馬による三冠最終関門であり、これ以降は天皇賞・秋の翌週をのぞいて、年末まで怒濤のようにGⅠ戦が行われる。競馬ファンにとっては、気もそぞろな日々が続くわけだ。
女心と秋の空‥‥とは、よくたとえられることだが、このGⅠ戦に限っては、そのようなことはない。人気、有力どころがよく期待に応えており、きわめて順当に収まっている。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの21年間、その馬単による万馬券は、わずか1回のみ(馬連も1回)。この間、1番人気馬は6勝(2着3回)、2番人気馬は7勝(2着5回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は3回あり、とにもかくにも、大きく荒れることは少ない。
それだけに、春に活躍したか、または古馬になっても衰えることなく、名を成すような馬が勝ち鞍を挙げていることも特徴だ。
過去21年間を見ても、02年ファインモーション、03年スティルインラブ、04年スイープトウショウ、07年ダイワスカーレット、10年アパパネ、12年ジェンティルドンナ、14年ショウナンパンドラ、18年アーモンドアイ、19年クロノジェネシス、20年デアリングタクトなど、注目されていた有力馬がきっちり期待に応えている。
順当に収まる傾向で、力のある馬が勝ち負けしているのであれば、桜花賞、オークスを圧倒的な強さでモノにした二冠馬リバティアイランドを中心に馬券を組み立てるのが筋というものだろう。
この馬はとにかく強い。桜花賞は出遅れて、直線を向いたところでは16番手。そこから驚異的な末脚を繰り出して2着馬に4分の3馬身差で勝利を収め、オークスは2着馬に6馬身差をつけての圧勝劇。前述した過去の勝ち馬と比較しても見劣りすることはまったくない。というか、それ以上の評価を与えても異論を挟む向きは少なかろう。
しかし穴党としては、この大本命馬に◎印をつけるわけにはいかない。可能性は低いものの、人気薄の馬に目を向けてみたい。
もちろん、東西のトライアルを制したモリアーナやマスクトディーヴァを中心視するつもりはない。狙いはミシシッピテソーロだ。
前走、昇級初戦となった紫苑Sは5着に敗れた。しかし、短期放牧でひと息入ったあとで、馬体にやや余裕があり、本来の姿ではなかった。そんな中、見せ場たっぷりの好内容。改めてこの馬の地力の高さを感じ取れる走りだった。
陣営としては、賞金的に出走枠に入れるかどうか微妙とみていただけに、レース後しばらくは不安の色を隠せなかったが、登録数は意外に少なく、挑戦できるとあって意気込みのほどはなかなか。この中間はとにかく順調で、しっかりと調整されている。
「春当時と比べると芯が入ってしっかりしてきた。思いどおりに負荷をかけられるし、いい雰囲気。前走を大きく上回る状態にある」
こう畠山調教師ら厩舎スタッフは仕上がりのよさを強調する。
その春は、使い詰めだったこともあり、体調を維持するのに四苦八苦。そんな状態で、NHKマイルC7着など一線級を相手にそれなりに実績を重ねてきており、この顔ぶれに伍しても見劣ることはないはずだ。
父、母の父から2000メートルの距離も問題あるまい。5代母は愛1000ギニー(桜花賞に相当)、愛オークスの2着馬で、母系そのものも欧州の一流血脈。
とにもかくにも勝負根性のある馬。〝一発〟があっても不思議はない。