盛夏の候。今週から舞台は新潟に移り、開幕週のメインは、芝の直線のみで競う新潟名物の5ハロン戦、アイビスサマーダッシュだ。フルゲート(18頭)にならなくても多頭数で争われることが多く、電撃戦とはいえ、十分に堪能できるGⅢである。
まずは過去のデータを見てみよう。
今年で第23回と歴史は浅く、第2回の02年に馬単が導入されて以降、これまでの21年間、その馬単による万馬券は6回(馬連では1回のみ)。この間、1番人気馬は9勝(2着4回)、2番人気馬は4勝(2着5回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は5回と、まずは中穴傾向の重賞と言ってよさそうだ。
ただ、周知の事実ではあるが、この直千競走は、多頭数になるほど外枠、特に7、8枠に入った馬がよく連対している。外枠沿いはレースでの使用頻度が少ないことから馬場の傷みがなく、スピードに乗りやすいからだ。なので枠順による有利、不利があからさまに出ることは否めない。
また、暑さに強いこともあり、牝馬の活躍が目立つのも特徴だ。過去22回で牝馬は12勝を挙げており、2着も12回ある。出走頭数を思うと、牡馬をしのいでいることは明らかである。
穴党としての狙いも、その牝馬。中でもイチオシしたいのは、ヤマトコウセイだ。
春の越後Sは、返し馬の時に放馬して除外となり、今回は3カ月ぶりの実戦。しかし、短期放牧後はここを目標にしっかりと調整されており、重め感なく仕上がっている。
稽古は相変わらず動かず、1週前の追い切りでもしまい追い出してから脚が上がってパタパタとなってしまった。が、息遣いは悪くなかった。
「来週(当週)ビッシリやれば、ちょうどいい体になるはず。結果は出ていないが芝は問題ないはずで、直千競馬は合うイメージを持っている」
とは、武井調教師の弁。だからこそ、穴党としても期待を寄せてみたいのだ。
祖母ワルツダンサーはスピードを売り物にした短距離馬で、母系も北米のスピード血統。素軽い走りでダート馬とみられてもやむをえないが、昨春の直千競馬(1勝クラス)で3着しているように、芝が合わないはずはない。鉄砲駆けが利く馬でもあり、一発があっていい。
一方のクイーンSもフルゲート(14頭)必至で、なかなかの混戦模様だが、狙ってみたいのは、フィアスプライドである。
半年ぶりだった前走のエプソムCは9着に敗れたものの、勝ち馬とはコンマ6秒差。前半、引っ掛かる場面が見られたが、それでも失速せず、最後まで頑張ってみせた。
前々走のターコイズSでは、ほぼ最後方の位置から最速の上り脚を使って3着したように、本来は強烈な末脚が身上の馬。地力は確かとみていいだろう。
今回は、休み明けを使われたことで稽古での動きが素軽くなっている。1週前の追い切りも軽快でリズミカル。馬体も締まって雰囲気が実にいい。
国枝調教師も「変わり身があっていいのでは。北海道の洋芝も問題ないはず」と、期待感をにじませる。
そして血統もいい。姉にフローラS勝ちのミッドサマーフェアを持ち、祖母ストームソングは、BCジュヴェナイルフィリーズなどGⅠ2勝馬。ここは強敵相手になるが、互角に渡り合っていい。
逆転候補はドゥーラだ。今回はオークス3着以来になるが、しっかりと調整されてきており、臨戦態勢は整っている。3歳馬だけに斤量も軽く、目が離せない存在だ。