日本球界で「第二のトレバー・バウアー獲得戦争」が勃発しそうだ。今季途中までドジャースでプレーしていた、左腕フリオ・ウリアスだ。
メキシコ出身のウリアスの実績は申し分ない。2016年5月にドジャースとメジャー契約を結び、いきなり5勝2敗、防御率3.39の成績を残すと、ポストシーズンでもロースター入り。ナショナルズとのディビジョンシーリーズで初登板初勝利を挙げ、カブスとのリーグチャンピオンシップでも先発している。
その後、数年は低迷したが、2020年には20勝して最多勝。2022年には防御率2.16で最優秀防御率のタイトルを獲得した。
今季の年俸は1425万ドル(約21億円)と高額で、オフにはFAとなる。本来なら手を出せない選手だが、素行面が再三、問題視されており、メジャーリーグでは獲得に二の足を踏むチームが続出しているという事情がある。メジャーリーグに詳しいスポーツライターが語る。
「ロサンゼルスのショッピングモールで女性に暴行した容疑で、2019年にロス市警に逮捕されており、20試合の出場停止処分を受けた。それだけでも印象が悪いのに、今度は9月に家庭内暴力で逮捕されている。真偽は分かりませんが、調査中のためポストシーズンには出場できず、休職扱いとなっている。仮に嫌疑が晴れてもメジャーでのプレーは当面、難しいでしょうね」
そこで持ち上がりそうなのが来季、日本球界でプレーする選択肢だ。スポーツ紙遊軍記者が言う。
「女性トラブルに見舞われたバウアーもアメリカでのプレーが難しくなり、日本に活躍の場を求めました。女性への暴行容疑で逮捕されたことがある、ソフトバンクのロベルト・オスナもしかり。ロッテからソフトバンクへと渡り歩き、今季は6億5000万円もの年俸を勝ち取っている。ウリアスがこの手のトラブルに寛容な日本球界でのプレーを考えても不思議ではないのです」
実力は折り紙付きで、しかも左投手。バウアーやオスナの活躍を考えれば、多少高額であっても十分に戦力として計算が立つ。
「不良債権のような外国人選手を5人も6人も抱えることを考えれば、よっぽどお得。ある意味、優勝を金で買える投手です。来季、ペナント奪回が義務付けられ、金銭に余裕がある巨人、ソフトバンクあたりは真っ先に手を上げるでしょうね。選手のポスティング移籍で多額の移籍金が入りそうな球団も、参戦してくる。5球団前後の争いになりそうです」(前出・遊軍記者)
WBCでは世界一に輝いた日本だが、まだまだコンプライアンスではアメリカに後れをとっているということか。
(阿部勝彦)