現職に就任した昨オフ、中日・落合博満GM(60)は、驚きの大減俸政策を断行し、およそ8億円のコストカットを成し遂げた。チームに奮起を促したはずが、今季もチームは4位と低迷──。結果、またしても契約交渉の席で情け容赦ないムチを振り下ろし、波紋を広げているのだ。
昨年は1億9000万円(推定、以下同)から3000万円という、年俸減額限度額を超えるダウン提示を受けた井端弘和(39)が退団、巨人に移籍する騒動に発展した。チーム内外に激しい動揺を与えた落合GMだが、「成績を残せなかったら年俸を下げる」という方針はまったくブレない。
11月1日に今オフ一番手で交渉の場に着いた谷繁元信監督(43)がさっそく、選手として4000万円のダウンとなる9000万円でサイン。ケガでシーズン後半を欠場した和田一浩(42)は5000万円、連続30セーブが9年でとぎれた岩瀬仁紀(40)は7000万円の大減俸を食らっている。
「故障明けで戦力にならなかった、吉見一起(30)、浅尾拓也(30)もそれぞれ、1億7400万円、1億6500万円から年俸1億円以上の場合の減額制限の40%ダウンが決まっている。確かに成績を残してアップした選手もいますが、それだって荒木雅博(37)が800万円、森野将彦(36)が500万円など、下げる時とは対照的に微増にしかすぎません。最多勝を獲得し、FA権を保有していた山井大介(36)が倍増となる1億2000万円の3年契約を勝ち取りましたが、チーム関係者から『もっと上がって当然だろう。よく残ったな』との声まで漏れている」(スポーツ紙デスク)
山井の場合は球団を去る選択肢もありながら残ったわけだが、多くの選手は昨年の井端のような粛清を恐れてか、評価を聞き入れて契約を更改している。白井文吾オーナー(86)という後ろ盾もいる、落合GMの威光は巨大化するばかりなのだ。
「グラウンドにおいても、兼任で指揮を執る谷繁監督をサポートするのは、落合GMの意向を理解する森繁和ヘッドコーチ(60)です。実質的には森コーチが監督の役回りで、谷繁監督がシーズン中に『どうせ俺は2番手なんです』とこぼすこともあった」(球団関係者)
とはいえ、そんな谷繁監督の負担を減らすためにも、オフに捕手の補強は急務だった。FA権行使が確実と言われた、西武の炭谷銀仁朗(27)とは相思相愛と見られていたのだが‥‥。
「西武はシーズン途中から将来を見据えてルーキー・森友哉(19)を抜擢し、積極的に起用するようになった。危機感を覚えた銀仁朗が親しいマスコミ関係者に相談するうち、谷繁監督の後任育成に苦戦している中日とのパイプが強固になっていったといいます。オフには宣言⇒即入団だと思われたのですが‥‥」(スポーツライター)
落合GMの存在が、決断に二の足を踏ませたというのだ。
「銀仁朗は周囲から『最後は冷遇されるんじゃないのか』と、心配されるようになったんです。10月1日にはちょうど中日が、中田亮二(27)や堂上剛裕(29)ら10選手の大量解雇を発表した。特に、同じ捕手で、かつてFAの人的補償で巨人から『こんなにいい補強はない』と当時の落合監督に獲得され、重宝された小田幸平(37)がポイ捨てされた現実は重かったようです。銀仁朗は西武残留を決めました。こうした状況に、『現体制でFA補強ができるのも、昨オフの小笠原道大(41)が最初で最後だったんじゃないのか』との声まで漏れている」(スポーツライター)