4年連続Bクラス、そして19年ぶりのリーグ最下位に甘んじた中日ドラゴンズ。その低迷の元凶とも言われる落合GMがついに、年貢の納め時を迎えた。これまで後ろ盾となってきたオーナーが落合氏に見切りをつけた裏には「NGワード」の存在と、引き金となる「事件」があった──。
13年オフにGMに就任すると、減額制限いっぱいのダウン提示を連発して総額8億円に及ぶコストカットを敢行。その後も契約更改で大幅な経費削減に成功する一方で、チームはBクラスにとどまったまま──。
落合博満GM(62)が編成トップに就任して以降、中日は球団史上初の「4年連続Bクラス」という暗黒期を迎えた。当然ながら、落合氏に対する批判の声は高まっていく。だが、そんな状況でも、白井文吾オーナー(88)は事あるごとに「落合は悪くない」と擁護。コストカットの手腕も評価し、全幅の信頼を口にしていた。谷繁元信前監督(45)のシーズン途中解任に際してGMの責任を問う声が上がってもなお、その姿勢は変わらなかったのだ。
ところが、である。その雲行きが急転したのは9月、シーズン最終盤だった。スポーツライターが語る。
「谷繁前監督の後任には、落合氏が推す小笠原道大二軍監督(43)の就任が濃厚でした。それが突然、森繁和監督(62)に差し替わった。これは白井オーナーが『もう落合の言うことを聞いていてはダメだ』と、みずから方針を変えたためです。この時点でオーナーは、来年1月末で契約が切れる落合氏のGM解任を決断していました。選手の年俸をカットしても客が入らなければまずい、と気がついたんです。ファンや中日新聞購読者からの抗議電話や、新聞の部数が落ちたのもこたえたらしい。そして何より、球団創設80周年の記念イヤーに、97年以来19年ぶりの最下位に転落したのがよほどショックだったと‥‥」
スポーツ紙デスクがあとを引き取って言う。
「4位や5位なら谷繁前監督の責任ということで、今も落合氏をかばっていたでしょうね。同じ地方球団として切磋琢磨してきた広島とは、オーナー同士が意見交換するなどしながらも、強いライバル意識を持ってきた。それが片やリーグ優勝、片や最下位。白井オーナーは盛んに『最下位はみっともない』『情けない』と口にしていました。オーナーにとって、『最下位』はNGワードでしたから」
落合氏解任を決めた白井オーナーの「決意の固さ」は、こんな言動に見て取れる。球団関係者が明かす。
「落合氏がすんなりと受け入れない可能性も考え、『俺もオーナーを退任するからお前も辞めろ、と言うつもりでいる』と語っていたそうです」
さらに、解任決断の引き金となった「事件」も起こっていた。落合氏の側近とも言える球団職員による「情報漏れ」である。スポーツ紙の「誤報騒動」も勃発する事態になったのだが、
「球団フロントは『何でこんな間違った情報が漏れるのか』と不信感を抱いて原因を調査したところ、その職員の名前があがってきた。どうやら落合氏がしゃべった不確定情報を、そのまま親しい記者に話していたらしい。これに白井オーナーが激怒した、と」(前出・球団関係者)
「小笠原二軍監督の一軍昇格」のニュースもそうで、
「それまでオーナーが『小笠原で決めた』と発言したことは一度もないし、その時点で新監督を決める役員会議の予定もなかった」(前出・球団関係者)