NHKの山名啓雄メディア総局長が10月18日、東京・渋谷の同局で定例記者会見を行い、10月16日の公開収録が中止となった旧ジャニーズ事務所の番組「ザ少年倶楽部」に言及した。
山名総局長は「番組の内容やタイトルの変更も含めて、抜本的な見直しを行っているところ」と説明し、一部で噂されている打ち切り説については明確に否定した。
10月9日には「ニュース7」内で、この番組にまつわる30代男性の衝撃的な証言を報道。2002年秋頃に「ザ少年倶楽部」の出演希望者がジャニー喜多川氏から、NHK放送センター内の男性用トイレで複数回にわたり、性被害に遭ったとするものだ。
山名総局長は「深刻な性被害を受けられたという男性の証言に関しては、重く受け止めている」としながらも「ただ、そのことはそのこと」と、番組編成と性加害の因果関係についての言及は避けた。その上で、抜本的な見直しができたら収録を再開させるという。
「ザ少年倶楽部」の収録は中止したが、ほかの旧ジャニーズ所属タレント出演作の自粛は今のところ、ない。男女逆転した江戸時代のパラレルワールドを描く、よしながふみの原作コミック「大奥」の医療編には、元Hey!Say!JUMPの岡本圭人が出演している。大奥やその関係者の美男子設定枠だ。
性加害事件を起こした旧ジャニーズ事務所に配慮したせいか、仲里依紗や倉科カナが胸を揉みしだかれる妖艶シーンを演じた前シリーズに対し、10月にスタートした今シリーズ「医療編」では、ある「問題シーン」がカットされた。以下はネタバレも含む、テレビ関係者の話だ。
「原作では、男だけが死ぬ謎の感染症、赤面疱瘡の撲滅に尽力する江戸時代の発明家・平賀源内が、あまりに不条理な性暴力を受けるシーンがあります。ドラマでは源内を鈴木杏が演じていますが、謎の感染症を治すには『種痘』が有効だと見抜き、今でいうワクチンを発明します。江戸時代にしてはあまりに先端をいく源内の思想と研究は大奥と江戸城付き御典医の反感を招き、大奥が手配した男たちの性暴力に晒される。今シーズンの大奥は得体のしれない感染症に立ち向かう研究者、ワクチン開発と反ワクチン運動、さらに性暴力に梅毒蔓延と、原作者が描いた当時は予想しなかったであろう、今の時代を切り取ったかのようなテーマを扱っている。さすがにNHKも、前シリーズで仲が演じたような性的シーンは全面カットしましたね」
謎の感染症に立ち向かいながら非業の死を遂げる鈴木の名演技が涙を誘うが、見逃した人にもまだチャンスはある。NHK総合では週末に「医療編」の一挙再放映が予定されているので、お住まいの地域の番組表を確認してほしい。