渡邉氏は主張する。
「来年3月からの企業決算もプラスに転じる可能性は高い。給与を上げると法人税を減税する政策を行っているので、給与上昇の環境ができつつあります。円安などで物価は上がりました。しかし、物価は上昇するのは早いのですが、下降するのには時間がかかる。恩恵を受けるのには1年~1年半必要です」
8%増税時、総理に近い多くのブレーンが「景気回復まで1年待つべき」と提言をした。その声を無視したことで、庶民が好況を実感するまでさらなる時間が必要となったのだ。
「本来、政権が行うべきは選挙ではありません。大規模補正予算を打って4月の増税をカバーし、そのうえで『4月の増税は間違っていました』と認めることです。総理が責任を取りたくないなら、財務大臣の麻生(太郎)さんと当時、経済担当大臣だった甘利(明)さんを辞めさせます。それが正しい対策だと思います」(三橋氏)
もちろん、そのような決断を安倍総理がするハズもないが‥‥。では解散総選挙となった場合、自民党は勝つのか。
「自民党は1割ほど議席を減らしますが、これは前回勝ちすぎた分です。公明党と組めば過半数以上は取れるので実質的な勝利になります」(浅川氏)
多くの国民が理解不可能な選挙で自民党が失う議席はどこに流れるのだろう。
「投票率はすごく下がります。私は50%を切ると考えています。そうなると組織票を持っている公明党と共産党は有利です」(三橋氏)
党内における安倍総理の最大のライバル、石破茂地方創生担当相は反旗を翻さないのだろうか。
「公明党は地方創生法案だけを通して解散してくれと言っています。法案が通れば大臣の役割は一段落する。党内的な力は弱体化するでしょう」(渡邉氏)
結果、長期政権化実現の可能性が高い安倍総理。目下、最大の敵は「財務省」を代表とする官僚だ。
「選挙後に、17年の増税を確定しろと言ってくるでしょう。今回のように政権の判断で増税を延期できるということにすれば政治の勝ちで、この攻防があります。安倍政権は今回の選挙公約にTPPや、移民拡大、労働規制の緩和などを全部入れてくると思います。消費税だけ見ると自民党は正しいのですが、他に悪魔のような政策が大量にある可能性が高いので、公約作成に提言を行いたいと思います」(三橋氏)
総理のエゴで行われる選挙。それにつきあわされた国民の政治不信は大きく増幅すると言えよう。