日本の中央競馬から「ジャパンカップ」が消える。そんな空気が漂ってきた。
IFHA(国際競馬統括機関連盟)が世界のGIレース「トップ100」の最新ランキングを発表。日本でもおなじみ、フランスで行われる「凱旋門賞」が2015年の1位から7位にランクダウンするなど驚きの結果となったが、それ以上に関係者の顔を曇らせたのが、日本馬が世界と闘うと謳われ、毎年11月末に親しまれてきた「ジャパンカップ(以下=JC)」が28位まで降格したという事実だ。加えて、13位の「有馬記念」から数えて、日本のレースの中でも6番目という低評価になってしまったことも衝撃のはずだが、関係者や熱心なファンの間では「当然だろう」というあきらめの声が多いという。
「わかってはいたが、現実を叩きつけられたということ。今回からこのランキングは単年ごとのレースレーティングで順位付けされたことも大きいが、つまり、出走馬の“レベル”が顕著に出ることになった。JCは日本VS世界というテーマで設けられ、かつては凱旋賞馬やアメリカ最強馬などレーティングの高い馬も来日。90年代の競馬ブームで最も盛り上がったレースといってもよかったが、オセアニアなど海外からの輸送ルートの変更や、凱旋門賞やブリーダーズカップから間もない日程、また12月にさらに賞金の高い香港のGIデーが隆盛を極めたことで、JCは10年前あたりから世界的には完全な“出がらしレース”という位置づけになっていた。近年はたいして強くない外国馬が3~4頭出るのがせいぜいで、今や日本の最強馬がJCに見向きもせず香港へ行くことを考えれば(昨年でいえばモーリス)、このランキングも致し方なしでしょう」(競馬担当記者)
昨年、JCを勝ったのは歌手の北島三郎所有で有名となったキタサンブラック。その背にまたがっていたのは世界の武豊だ。
「昨年は天皇賞・春とJCを勝ったキタサンが年度代表馬になりました。日本のGIも勝ち、香港では2度も圧勝したモーリスではないかという声が多かったが、キタサンは1年間国内を盛り上げたというご褒美もあったのでしょう。しかし、JCにここまで価値がなくなると、JC馬=最強馬ではないのも事実。もはや、ゲート(出走頭数)を埋めるのも四苦八苦のただの錆びきったGIという現実を受け入れ、日程や条件なども再構築していかないと、JCがなくなる日は近いという声は少なくない」(前出・競馬担当記者)
久々にJCを制した武豊もこのレース価値の急落はショックだろう。世界的に“古いGI”と揶揄されていた凱旋門賞も1位から急降下という現実を見ると、JCには一刻も早い対策が必要となりそうだ。
(佐々木たける)