さて、捕手ばかりか、外野手争いの勢力図もおかしな方向へ傾きかけている。原監督の強い要望によって、球団はDeNAからFA宣言した金城龍彦(38)まで獲得しようとしているからだ。
「外野は長野久義(29)が肘と膝を手術するから来季開幕に間に合わない可能性があることで、原監督は金城獲得によって“保険”をかけるつもりのようです。とはいえ外野手は、今の段階でも亀井義行(32)にアンダーソン(32)、矢野謙次(34)、松本哲也(30)らがいて、若手有望株にも大田泰示(24)と中井大介(24)が控えているんだから、明らかな飽和状態。状況がまったく見えていないのでしょう。金城に相川、そんなアラフォーのオッサンコンビをFAで獲れば、若い選手の士気にも大きく影響する」
こう嘆いたのは、チームスタッフである。原監督主導の不可解な“アラフォーFA補強”には現場レベルからも厳しい声が湧き起こっているのだ。
そして──。迷走し続けるG指揮官周辺の取材を進めていくと、ここにきて驚くべき事実も判明してきた。
なんと大リーグ・メッツからFAとなった松坂大輔(34)の獲得に“失敗”していたというのだ。先とは別の球団関係者が声を潜め、「これは巨人内でも、限られた一部の人間しか知らない極秘事項なんですが‥‥」と前置きしたうえで次のように衝撃の内幕を明かした。
「シーズン終了後、松坂本人から原監督の携帯に『実は来季、日本に帰ろうと思うんですが‥‥』と相談の連絡があったそうなんですよ。2人は09年のWBCで日の丸を身に着け、短期間ながら侍ジャパンの指揮官とエースという関係を築いていた。だから、松坂としても来季メジャー残留が厳しい状況を踏まえ、原監督とのホットラインを使って巨人移籍を狙ったのです。ところが原監督はこれに対し、どこも行くところがないのなら、ウチが獲ってもいい、というような姿勢で対応したといいます」
松坂は驚きを隠せなかったようだが、数日後にはさらなる衝撃を受けたというのだ。球団関係者が続ける。
「原監督から年俸は1億円がマックス、というような返答をされたことでヘソを曲げてしまったようです。確かにソフトバンクやDeNAほど、ウチは松坂獲得には躍起になっていないから大金は用意できない。それでも松坂が誠意を持って真っ先にみずからの携帯に連絡をしてきたということを、もう少し原監督は考えるべきだったのでは。対応しだいでは松坂だって『巨人ブランド』に魅力を感じていたのかもしれないし、ちゃんと交渉できていれば、それこそ格安の年俸でウチに入団してくれていたかもしれない。逃した魚は大きかったと思います」
空回りを続ける原監督は、それでも4連覇を思い描いているのだろうか。