百聞は一見にしかず。自身が思いつく検索ワードで、今どきの給食を見てほしい。
東京都足立区では「日本一おいしい給食」をコンセプトにした結果、セブンイレブンの期間限定商品として売り出されたり、足立区役所の食堂の「看板メニュー」にもなっている。
一方で北海道や埼玉県、神奈川県、大阪府、宮城県の給食は「#刑務所よりひどい」と、PTAや保護者に怒りのハッシュタグをつけて投稿されるほど悲惨だ。特にX上で「ネタだろ」と評されたのが、北海道倶知安町と函館市、宮城県仙台市。これらの学校給食に共通するのは「緑黄色野菜の付け合わせがない」「副菜の野菜はきゅうり1片」というお粗末ぶりだ。
神奈川県では10月31日、川崎市教育委員会の調査で、市内の給食向けに豚肉を納入していた食品加工会社「寿食品」(相模原市中央区)が十数年にわたり、外国産の豚肉を国内産と偽って納入していたこともわかった。社会部記者が言う。
「問題の業者はその後、厚木市や海老名市、東京都稲城市などにも給食食材を納入していたことが判明しました。11月1日には神奈川県警が業者の家宅捜索に入り、余罪を捜査中です。神奈川県では別の町村でも数年前に、首長が愛人に給食の管理栄養士をさせているのではないかと噂された、粗末な献立が問題視されたことがある。神奈川に限ったことでなく、子供をダシにした中抜きが、給食業者でまかり通っているのか…」
筆者が検索した中で目が止まったのは「子育て支援策」が充実し、住民満足度が全国1位といわれる埼玉県鳩山町の給食だった。「子供を留守番させるのは犯罪」とのたまう自民党県議団が牛耳る「トンデモ埼玉」の中では、同町は育児行政に力を入れているはずだが…。
なにしろ、野菜たっぷりの汁物の他には、主菜が小籠包1個という献立の日も。小学校1年生、6歳時向けの小盛りでも、昼ごはんの主菜が小籠包1個では、何をオカズにご飯を食べろというのか。
鳩山町の給食センターに尋ねたところ、以下のような返答(一部抜粋)が寄せられた。
〈文部科学省の「学校給食摂取基準」を踏まえ、毎月、各小・中学校の給食担当教諭と学校栄養教諭が献立作成委員会を実施し、学校栄養教諭が献立を作成しております〉
〈多様な食品を適切に組み合わせて、児童・生徒が各栄養素をバランスよく摂取できるよう工夫し、給食を提供しております〉
〈(配食量について)児童・生徒の発達段階に応じて、必要な食材の量や個数を提供しております。このことから、小学1年生から中学3年生までの個々の配食量は異なりますが、適切な量であると考えております〉
なんと卒業を控えた中学生や卒業生から感謝の手紙も寄せらるほど好評で、保護者から「量が少ない」という意見はないという。
確かに量が少ないだけで、「刑務所以下」といわれる「うどんとフライドポテトのオール炭水化物」給食を出す同県熊谷市と比べれば、汁物に緑黄色野菜がふんだんに入っているだけ良心的な献立と言えるかもしれない。
同じく「刑務所以下」の「揚げパンとじゃがいも3切れ」を出した北海道函館市では今年5月、そして11月7日にも金属片が混入。市内の中学校の給食に入っていたものは「野菜裁断機の破片」だったという。
函館市は「日本で最もホテルの朝食が充実している観光地」といわれる。観光客には朝からステーキやカニを振る舞う一方で、子供たちには揚げパンとイモ。観光に依存した貧困国におけるスラム街の場末感すら漂う。
岸田政権はなおも「少子化対策」を口実に、増税や社会保険料の値上げを企んでいる。もう国民は騙されない。子供をダシにした中抜き業者が存在するのかどうか、その洗い出しこそが先だ。
(那須優子)