今年もプロ野球のストーブリーグが騒がしい。優勝しようが最下位に終わろうが、各チーム内には様々な思惑が見え隠れ。V監督の秘める転身プランからFA戦士のガメつい皮算用まで、来季に向けてスタートした攻防戦の舞台裏をすべてお届けしよう。
15年ぶりに古巣復帰するや18年ぶりのリーグ制覇と38年ぶりの日本一を達成。阪神の岡田彰布監督(65)である。ところがすでに、来季の「アレ」以上に成し遂げなくてはならない大仕事を思い描いているという。在阪メディア関係者が解説する。
「どうも、OBの鳥谷敬(42)を入閣させたがっとるんよ。もう次期監督候補としてラブコールを送っているみたいやけど、鳥谷本人が丁重にお断りしている状況。5日に放送された関西テレビの優勝特番でも、昨年の監督就任決定時に『もう1、2年は外で勉強しておけよ』と岡田監督が鳥谷に電話したことが明かされたんやけど、番組MCに『それは来年も継続ですか?』と聞かれた岡田監督は『本人次第でしょう』と含みを持たせる即答コメント。あの時の鳥谷の狼狽ぶりはリアルな反応やと思うで」
第一次阪神監督1年目、新人時代に開幕からショートで重用した早大の後輩。それだけに親心で現場復帰を促しているのかと思いきや、何やら打算的な思惑が見え隠れしている。球界関係者が胸の内を明かす。
「岡田監督はGMに転身して〝院政〟を敷くために鳥谷を呼びたがっている。というのも、2年契約の切れる来季で監督を勇退するつもりだといいます。全国を遠征する肉体的疲労や伝統球団のプレッシャーによる心労が還暦を過ぎた球界最年長の老体にはこたえているみたいですからね。表舞台から退いて〝鳥谷傀儡政権〟を築こうと」
とはいえ、肝心の鳥谷氏は乗り気でないようで、
「岡田監督の下で働きたくないんやろ。選手時代からあの『イラチ』な性格を見てきただけに、ストレスで身を滅ぼすのは目に見えとるからな。それに、最近の鳥谷はタレント業の調子がすこぶる良好。日曜劇場『下剋上球児』(TBS系)で俳優デビューを飾ったことも球界で一目置かれている。野球のみならず芸能界でもマルチに稼げているんやから、わざわざ〝地雷〟を踏む必要がないと考えているみたいよ」(在阪メディア関係者)
同様に、入閣要請を後輩に蹴られたのが中日の立浪和義監督(54)だ。スポーツ紙デスクが言う。
「福留孝介氏(46)に首脳陣入りを打診して、断られている。3年契約の最終年とも言われる現体制は泥船も同然。今さら関わってもキャリアに傷がつくだけです。『鉄の掟』で培われたPL学園OBの上下関係をしても損得勘定を覆せなかったのでしょう。同じくPL学園OBの宮本慎也氏(53)や侍ジャパンの井端弘和監督(48)にも断られている」
今オフには、西山秀二バッテリーコーチ(56)、中村紀洋2軍打撃コーチ(50)、荒木雅博内野守備走塁コーチ(46)が退団。この相次ぐ離反には〝独裁者〟の圧政が影響しているという。チームに残る首脳陣にも心労は絶えない。中でも、一番の被害者は落合英二2軍投手兼育成コーチ(54)だろう。〝事件〟は8月25日のDe NA戦にまでさかのぼる。先のスポーツ紙デスクが続ける。
「敗戦処理で登板した近藤廉(25)が1イニング10失点の大炎上でした。ヒットを打たれようが四球を出そうが交代しなかった〝さらし者状態〟にファンは大ブーイング。もちろん、その矛先は立浪監督に向けられたものでしたが、エゴサーチして機嫌を損ねた当人が、当時ヘッドだった落合コーチにチクチクと苦言。だんだん塞ぎ込むようになってしまい、シーズン終盤はベンチに入ることもできずにブルペンに籠もる日が増えた」
ちなみに、先のドラフト会議直前にも立浪監督の暴走が確認されている。
「早々に編成部門が大卒即戦力投手の1位指名を公言していたのに、直前の編成会議で、立浪監督の意向で急遽、度会隆輝(21)指名に方針が変更された。アワアワするスタッフたちを『俺が決めたんやからええんや』と黙らせたといいます。抽選も外れでしたが‥‥。それでいて、2位・津田啓史(20)、3位・辻本倫太郎(22)と即戦力のショートを獲得。昨年も即戦力の二遊間を3人指名していますが、どうも、求められる水準が立浪監督の現役時代のレベルらしい。そんな一流プレーヤーが次々に現れるわけがない。球団内でも『ウチのドラフトは〝二遊間ガチャ〟』と揶揄されている」(球界関係者)
阪神が優勝した03年と05年の翌年に、中日が優勝‥‥。さすがに、そんな法則も来季はアテにならないだろうが‥‥。