「大河ドラマオタク」を自称し、関連書籍も多数出版するタレントの松村邦洋(56)。子供の頃から、約50年も観続けてきたという大河ドラマの中から、印象に残る作品や名シーン、そして大物女性歌手にまつわる大胆不敵な新作のアイデアまで語ってもらった。
当時、小学校3年生だった松村は、祖父母と一緒に観た「風と雲と虹と」(76年)で一気に大河ドラマに魅了されたと述懐する。
「本当は別のお笑い番組を観たかったんですけど、昭和の時代は子供にチャンネル権はなかったですからね(笑)。仕方なくと言ったら失礼ですが、何気なく観ていると、子供心にも突き刺さる痛快なシーンがたくさん出てくるんですよ。特に、加藤剛さん演じる平将門が、少数の兵を引き連れて、朝廷側の大軍に打ち勝つシーンには痺れました。あと、丹古母鬼馬二さんが演じた海賊を観た時には、『これ、本物?』と思うぐらいの迫力があって、ひき込まれてしまいました」
この作品で松村は、歴史の面白さとともに、残酷さも学んだという。
「身分の高い女性から遊女になる役を演じたのが吉永小百合さんでした。ラストシーンは強烈で、不遇の人生を辿った後、敵の兵士に捕らえられて慰み者にされるんです…。その時に流れていた音楽と似たような曲を聴くだけで、いまだにその時のシーンが頭に浮かぶんですよ」
国民的女優の衝撃的なラストは、大河ドラマだからこそ実現したシーンと言えるだろう。松村は、こうした大物女優の貴重なシーンを見られるのも大河の魅力だと力説する。
「『花神』(77年)の加賀まりこさんがよかったんです。主人公で医者の大村益次郎の妻役なんですが、少しおっちょこちょいなんで注射も打てない。益次郎から『お琴、ちょっと落ち着け』って注意されると、ヒステリーを引き起こすんですよ(笑)。その慌てふためく感じが可愛いんです。あと、益次郎の弟子でオランダ人とのハーフ役を演じた浅丘ルリ子さんも華麗でした。西洋風の顔立ちで、ハマり役でしたね。よく覚えているのが、益次郎と一緒に『レッセンド、レッセンド♪』って歌うシーンがありまして。妙に印象に残っていたので、浅丘さんとお会いした時に目の前で歌ったんですよ。すると、『よく、覚えているわね‥‥レッセンド、レッセンド♪』って、一緒に歌ってくださったんですよ」
また、「大河ドラマの神回」と太鼓判を押すのが、「新選組!」(04年)に出演した、堺雅人演じる山南敬助のラストだと語る。
「新選組で総長を務めた山南の最期は歴代でもトップクラスですね。隊からの脱走に失敗し京都に連れ戻されるんですが、仲間たちが逃がそうとするんです。でも、失敗してしまい、隊の規律で自害するわけです。その時に、堺さんが土方歳三役の山本耕史に、『悔やむことはない、君は正しかった。私を赦せば隊の規律は乱れる。私が腹を切ることで新選組の結束はより強まる。それが、総長である私の最後の仕事です(モノマネで)』と言って腹を切るんです。もうね、号泣に次ぐ号泣でした」
このように、一言一句正確に記憶し演じることができるほど、大河ドラマ愛にあふれた松村が、今後ドラマ化してほしい題材とは?
「大分出身で柳川城主の立花宗茂です。戦巧者ですが、関ヶ原の戦いで西軍についたので改易されて浪人に。でも、宗茂の実力を知る徳川家康に重用され、再び柳川城主に戻るという、リストラになった人が復活するという内容にすれば面白いと思うんですよ。松田聖子さんのご先祖の蒲池一族も出てくるので、主題歌を歌ってもらえたら盛り上がりますよ」
松村の愛は、タイガースと大河に注がれている!