厚底ブーツ、バーバリー、三陽商会…。90年代のギャルを熱狂させ、2018年9月に歌手を引退した安室奈美恵さんのトレードマークが今、再び注目されている。
今年のブーツのトレンドは、トレッキングシューズに用いられるソールで作られた「厚底ロングブーツ」。バーバリーは今年「欧州ファッションブランドの再生屋」でイングランド出身のダニエル・リー氏がブランド展開の陣頭指揮を執るようになり、売上高を9.5%も伸ばしている。
そのバーバリーとのライセンス契約を終了し、「バーバリー・ロス」で危機に瀕していた三陽商会も、10月に発表された2024年2月期第2四半期決算(2023年3月から2024年2月)を大幅修正し7年ぶりに黒字転換。決算発表した10月6日の株価は、ストップ高で終了した。
潤っているのはファッション業界だけではない。安室さんの中古CD「ベストアルバム」が、Yahoo!オークションやメルカリで、3000円から1万2000円で飛ぶように売れているのだ。
というのも、先週からApple MusicやSpotifyなどの音楽配信サービスで、安室さんの楽曲配信が突然中止され、視聴できなくなったから。さらにはYouTubeの公式チャンネルも何の事前告知もなく全て消去され、「このチャンネルは、現在ご利用いただけません」と表示されるのみ。40代になった元アムラーの手元にはまだCDプレーヤーが残っているのか、楽曲を求めてCD買いに走っている。
音楽配信と動画配信が突如中止された理由について、安室さんの出身地・沖縄の地方紙「琉球新報」は11月18日付の配信記事で「契約の見直しと、重複する楽曲の整理が理由だ」と報じている。音楽関係者によれば、
「安室さんの楽曲はシングルリリースされた楽曲数に対し、編曲を変えたリミックスバージョンがやたらと多い。再生数やダウンロード数を稼ぐには非効率的です。今後は効率性を重視し、ダウンロード数の多い楽曲だけに絞り込んで配信するのではないかとみられます。なので中古CD市場では、今では懐かしいユーロバージョン、ディスコバージョンなど、今後再配信されないかもしれない限定レーベルに、1万円以上の高値がついてます」
加えて歌手復帰の可能性について、こうも語るのだ。
「CDが再度売れたからといって、音楽活動に復帰するかは疑問です。というのも、現在の彼女の自宅とされる関西地方の高級分譲マンションの住所と外観がSNSに投稿され、目撃情報も投稿されている。これでは引退後も気が休まらないでしょう。今は生成系AIで新たなライブ動画を作成、配信できる時代。悪質なファンに追いかけ回され、自宅とプライバシーまで晒されるのがわかっていて、ボイストレーニングやダンスレッスン、スレンダーな体型維持など、過酷でストイックな生活に戻すメリットが、彼女には全くありません」
復活を阻んでいるのは皮肉にも、「悪意に満ちたファン」だった。
(那須優子)