昨年まで阪神で行われていた「JCダート」だが、今年からレース名&場所を変更し、今週は中京で「チャンピオンズC」が行われる。外国馬の参戦は1頭と少ないが、GI馬が計10頭と、国内の砂の猛者たちが勢ぞろいした。
ジャパンCダートが改名され、新たに中京競馬場を舞台に行われるチャンピオンズC。距離こそ同じ1800メートルだが、阪神から直線の長いコースに変わるのが、まずポイントになるであろうか。
これまでの古馬混合のGI戦は、圧倒的に4歳、5歳馬が強いのが特徴だったが、このダートのGIは、5歳馬の活躍が顕著で、6歳馬の善戦も目立っている。そして3歳馬が勢いに乗じて好走するケースが少なくないが、今回3歳馬はカゼノコ1頭。ちょっぴり厳しいと見るべきだろう。
5歳上の古馬勢が強いのは、スピードよりパワーがモノを言うダート戦という側面もあってのことと思われるが、今回も一昨年の覇者ニホンピロアワーズを筆頭に、ローマンレジェンド、グレープブランデー、ダノンカモンと古豪がデンと控えており、重厚さが増す重賞となっている。
特に大きく荒れるということは少ないが、馬単導入後の過去12年で4回万馬券が飛び出ており、人気薄でも軽視してはいけない傾向がある。
顔ぶれは、どうだろう。最も強いとされる5歳勢は、サンビスタ、ナムラビクター、ホッコータルマエ、そしてワイドバッハの4頭だが、これなら充実の4歳勢もヒケを取らないと見ていいのではないか。
その4歳は、前哨戦のGIIIみやこSを制して目下3連勝と波に乗るインカンテーション、以下クリソライト、コパノリッキー、ベストウォーリアなど、層は実に厚い。当方としても今回は4歳勢に分があるように思えてならない。
が、前述した有力勢ではおもしろくあるまい。最も期待を寄せたいのは、クリノスターオーだ。
前走のみやこSは1番人気に支持され、これまでどおり2番手の積極策に出たが、インカンテーションの強襲に屈して5着と、期待を裏切ってしまった。
今回は直線の長い中京。ジリ脚で粘り込みタイプのこの馬としては厳しい戦いが予想され、恐らく評価が低くなるはず。しかし、そうであれば、穴党としてはしめたものだ。
前走を振り返ってみよう。道中は楽に見えたが、直線を向いて他馬が仕掛けた際に、この馬だけ追い出してもそれまでと違って反応が鈍かったように見られた。パドック(下見所)で落ち着きを欠いていたことなどを思うと、前々走のシリウスSを休み明けで勝った、その反動(2走目のポカ)があったのではないだろうか。当方としては、そう判断している。
しかし、この中間は順調そのもの。中間の稽古は軽快で、1週前の坂路での追い切りでは、テンよし、中よし、しまいよしという、すばらしい動きを披露していた。
「落ち着き払って、実にいい雰囲気。思いどおりの調教ができているし、まず状態に関しては文句なし」
高橋忠調教師が、こう言って目を細めるほど。
それだけの好仕上がりを見せているとあっては、巻き返しは十分可能だろう。恐らく今回も2、3番手の好位で立ち回るはずだが、有力勢が中団につけ、互いにけん制し合うのであれば、マイペースで思いどおりの競馬に持ち込めるはず。他陣営にしてみれば、予想以上の粘り腰を見せるのではないか。
そんなわけで直線の長い中京は、かえってこうした先行脚質馬には味方になってくれるはずだ。ジェニュイン(皐月賞、マイルCS勝ち)など近親、一族に活躍馬が多く見られる北米の一流血脈。良馬場なら頭から狙い撃ちといきたい。
◆アサヒ芸能12/2発売(12/11号)より