米メジャーはストーブリーグの真っ只中。シーズン中以上の脚光を浴びるのは移籍が濃厚な二刀流・大谷。が、他にもポスティング・FAでメジャー入りを目指す4投手の参加で米市場は日本選手バブル状態。1ドル=150円時代に高値買いされる侍メジャーのお値打ちを本誌が世界最速でジャッジ!
「米国のFAマーケットは混沌を極めています。なんせ、一番の目玉選手がまったく姿を見せてくれないんですから‥‥」
こう頭を抱えるのは在米のスポーツライターだ。原因はエンゼルスの大谷翔平(29)の去就問題に他ならない。実は大谷は8月10日(日本時間、以下同)の登板を最後に会見の場に姿を見せていないのだ。大リーグ評論家の友成那智氏が大谷の胸中を推察する。
「9月にメスを入れた右ヒジの状態を探られたくないのでしょう。具体的な術式などはトップシークレット。執刀医が18年にトミー・ジョン手術を担当したエラトロッシュ医師であること以外は何も明かされていない。移籍交渉の値引き項目、あるいは来季の研究材料を他球団に渡すことになりかねないからでしょう。それでも、大谷は米国メディアが報じる『FAランキング』でダントツの1位。契約金額も11年約830億円規模にまで高騰しました。そのため本人の肉声なしに移籍予想ばかりが過熱しています」
新天地候補には複数球団が手を挙げているが、二刀流ならではの壁にブチ当たるのだ。
「大谷サイドは移籍先の条件として『二刀流の継続』と『ワールドシリーズに進出できるチーム』を設けているといいますが、この2つを両立できる球団があるかどうか。というのも、二刀流を実現するためには中6日の先発ローテーションを構築する必要があります。すると、これまで中4~5日で投げていたエース級の投手の登板機会を奪うことになる。今年サイ・ヤング賞エースのコール(33)を擁するヤンキースや投手王国を築くマリナーズは候補から外れることになるでしょう。大谷の二刀流は、基本的に投手力が脆弱なチームでないと実現できないのです」(友成氏)
と同時にパートナー問題も避けられない。スポーツ紙デスクによれば、
「すでに日本人が在籍しているチームに移籍することは考えにくい。メジャーには、試合中にベンチ入りできる通訳は1言語につき1人までというルールがある。大谷は専属通訳の水原一平氏とセットで移籍するだけに、他の日本人選手が雇った通訳の仕事を奪うことになりかねない。もちろん、ベンチ外でサポートする分には問題ありませんが、気を遣う大谷がわざわざトラブルの火種を持ち込むとは思えません」
それら懸案事項をすべてクリアしても、来季は二刀流を封印するのは決定事項で、「DH」一刀流に全集中だ。
「大谷は、18年オフにトミー・ジョン手術を受けた翌年のシーズンも打撃成績は堅調でした。今季の打率3割4厘、44本塁打、95打点と同等の数字は期待できる。登板に備える必要もないので、盗塁数も増えるでしょう。となれば三冠王+30盗塁の前人未踏の金字塔を打ち立てる可能性もある。昨オフにトミー・ジョン手術を受けたフィリーズのハーパーが、約2カ月前倒しで現場に復帰したのが好例です。野手の場合は想定よりも短いリハビリで済むので、大谷は早ければ、スプリングトレーニングまでには復帰してくれるはずです」(在米スポーツライター)
2度目の右ヒジ手術も大谷にとってはケガの功名となりそうだ。