怒濤のごとく続くGⅠ戦だが、今週は舞台を阪神に移して、2歳女王を決める阪神ジュベナイルフィリーズが行われる。
ホープフルSが今年の最後に控えているだけに、来週の朝日杯FSが2歳牡馬の総決算とは言えなくなったが、この2歳女王決定戦は距離や舞台が桜花賞に直結しており、重みのある重要なGⅠ戦である。
ここで勝利を収めて桜花賞やオークス、さらには秋華賞を制するなど、来期に飛躍した馬は少なくない。
馬単が導入された02年以降を見ても06年ウオッカ、07年トールポピー、08年ブエナビスタ、09年アパパネ、16年ソウルスターリング、20年ソダシ、そして昨年のリバティアイランドといった具合だ。
勝ち馬以外でも2着に好走した13年ハープスターや18年クロノジェネシスなども含めると枚挙にいとまがないが、ここで勝ち負けした馬は3冠レースでも主役を張れるはず。そうした視点からもファンにとっては目の離せない一戦である。
果たして来期活躍するスター候補は、どの馬か。
まずは過去のデータを見てみよう。02年以降これまでの21年間、馬単での万馬券は6回(馬連は5回)。この間、1番人気馬は8勝(2着2回)、2番人気馬は2勝(2着4回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は3回。改めてデータを見ると、堅い時は文字どおり順当に収まっているものの、下馬評どおり簡単でないことがわかる。
さて、今年はどうだろう。なかなかの素質馬がそろったが、反面、絶対視できるような馬が見当たらない。ハイレベルで力が拮抗しており、簡単に主力馬を推すのは難しいところである。
悩むところだが、最も期待を寄せてみたいのは、シカゴスティングだ。
前走のファンタジーSは3着惜敗。レース間隔が開いていたため落ち着きを欠いていて、パドック(下見所)ではイレ込む場面も。そんな状態だったため、レースでも折り合いを欠いていた。でありながら、勝ち馬とはコンマ1秒差。まともだったら、と惜しまれる結果だった。
しかし休み明けを使われたことで、この中間は実にいい雰囲気。1週前の追い切りも軽快だった。
「マイルに距離は延びるが問題はない。1度使われて良化しており、仕上がりは上々。相手はそろうが差はないと思う」
と庄野調教師をはじめ、厩舎関係者は口をそろえるほどだ。
祖母はGⅠ勝ち馬で近親にマルセリーナ(桜花賞)がいる良血。サンデーサイレンスの3×4の近親配合(奇跡の血量)も魅力である。420キロ台と小柄ながら、バランスの取れた好馬体から素質は確か。ここは勝ち負けとみた。
逆転候補とみたいのは、コスモディナーだ。
3カ月半ぶりの実戦になるが、ハナからここが目標で、しっかりと調整されている。1週前の追い切りでは3頭併せで抜群の動きを披露していた。
コンビを組む松岡騎手も好感触を得ているが、問題は輸送。繊細な牝馬だけに阪神への長距離輸送で体重が減らないかが気がかりなところだ。
秘めた力はかなりあるため、無事に輸送をクリアできれば、強烈な末脚がモノを言うとみている。