では、具体的に何が「不支持」の要因なのか。気に入らない政策・言動で見ていくと、1位の「口先ばかりの賃上げ」が332票と圧倒的に票を集めた。それ以外の上位では、2位「歯止めの利かない物価高」、4位「ガソリン・光熱費の高騰」と、身近な生活費にまつわる不満が集中していることがわかる。秋の臨時国会冒頭、岸田総理は所信表明演説で、「経済、経済、経済」と3連呼していたものの、そこで打ち出された政策がまったく国民の胸に突き刺さらない、いやむしろ、マイナス要素として悪目立ちするという皮肉な結果となっているのだ。
この点に関し、庶民のナマ声はかなり辛辣だ。
「国民生活を勉強しなさい」(54歳・神奈川)、「もっと国民の声を聞け」(51歳・宮城)と、まるで国民の痛みがわかっていないのではと疑う声があれば、岸田総理のことが「嫌いではありません」という埼玉の51歳会社員ですら「今すぐインフレを抑制してほしい」と注文をつけているほど。
ここで経済の専門家、ジャーナリストの荻原博子氏に解説願おう。
「こういった項目が上位にくるということは、ダイレクトに家計に響く問題がいかに口先ばかりで疎かになっているかということを表しているのでしょう。例えば賃上げ税制は、賃上げをしたら法人税を下げてあげますという制度ですが、そもそも法人税を払っていない企業が7割なんですから、効果もへったくれもない」
とバッサリ。さらに、こう続ける。
「しかも経営者にしてみれば、1回上げた賃金は下げるわけにはいかない。にもかかわらず、法人税の優遇は1回こっきりですから、賃上げしたらむしろ損になります。50歳以上の男性といえば、論理的にモノを考えて世間知も豊富なはず。事実、回答者には経営者や自営業者も含まれているでしょう。そういった人がダメを出しているということは、やはりダメなんです」
アンケートに戻ろう。
「『聞く力』がなし」が3番目に多く、「具体性のない場当たり政策」が6位にくるあたりも、政治家として、とりわけトップである総理としての資質に欠けることを歴然とさせている。
アンケートでも、この点を指摘する声が多い。
「具体的な対応がない」(60歳・福岡)、「風見鶏みたい」(56歳・長野)、「行動力がない。ピントがズレている」(61歳・群馬)、「補聴器が必要」(71歳・千葉)と、苦言の類いは枚挙にいとまがないが、「国民の言うことに耳を傾けない」と怒る神奈川の会社員は「言っても無駄」と切って捨てた。
このあたりも「聞く力」をアピールし、具体策が「岸田ノート」に書き溜めてあるはず(?)なのに、政策にまったく反映されないという現実が、国民をさらに苛立たせているのだろう。