続けて見てみよう。7位に「サラリーマン増税」が選ばれているのも「増税メガネ」の面目躍如たるものだが、8位「次元の異なる少子化対策」、9位「4万円減税」、10位「マイナ保険証(紙の保険証廃止)」などは、景気のいい言葉のわりに、空証文を握らされたことへの〝恨み節〟が渦巻いていることを示している。
そして、ここでも回答の中には、嫌いな点で「増税メガネ」という回答がいくつもあり、この悪名がいかに浸透して負のシンボル化しているかがわかる。その他の意見もあえて無責任に並べると、「顔」(53歳・大阪)、「頭悪すぎ」(57歳・東京)、「腹黒い」(58歳・東京)などの容姿や性格といった、本人が予期せぬ範囲までケチをつける罵倒が多く見られた。
また17位「LGBT法案関連法の成立」、18位「ウクライナ電撃訪問」、20位「広島G7サミット」といった、恐らくは岸田政権が成果として挙げた項目までが、「嫌い」の要因となっているあたりに悲哀を覚える。あまりに政権維持ばかりに翼々としてリーダーシップが感じられなかったことが見透かされているのだ。
その中でも、多少毛色が異なりながらも上位に入ったのが、5位「長男重用、2世議員閣僚の世襲政治」だ。アンケートの意見でも「腐敗内閣、人材不足」(65歳・千葉)の温床というものがあった。
だが、ここにこそ最大の問題があると見るのが、評論家の佐高信氏だ。
「岸田という人は、言ってみれば爺さん坊やだね。いい年なのに、世襲でぬくぬくと育ったから成熟していない爺さん坊や。そして多くの国民が賃上げやインフレ、ガソリン高に対する政策で不満を漏らすのも、3世議員の岸田をはじめ、自民党の4割が世襲議員で、そんな庶民の苦しみなんてわからないからだよ」
まさに手厳しい意見だが、さらにこう続ける。
「しかも、自分で宏池会を誇りとしながら、やってることは護憲・軽武装の本来の宏池会とは逆のことばかり。だから自分もないんだね。宏池会も手段でしかない。だから政治家はもとより、ましてや総理大臣になんてなっちゃいけない人なんだ。じゃあ嫌われているからといって、そんな悪人かと言えばそうでもない。私に言わせればカッコ付きのいい人で、しかもその上に『どーでも』が付く。つまり『どーでもいい人』だね」
新たに「どーでもいいメガネ」のあだ名がつけられる日も近そうだ。