オリオールズからFAとなっている藤浪晋太郎のメジャーリーグ契約が、やはり難航している。
代理人のスコット・ボラス氏が日本時間12月7日、アメリカ・テネシー州で行われているウインターミーティング会場でインタビューに応じ、「すでに2、3球団からオファーがきている」と発言。来季の契約に自信をのぞかせているが、事態は簡単に進まないようだ。MLBを長年取材するスポーツライターは、その理由について次のように話す。
「オファーがあるといっても、全ては救援投手としてのもの。先発に強いこだわりを持つとはいえ、藤浪を先発投手として獲得する球団はないでしょう。しかも藤浪本人は、マイナー契約にも難色を示している。同じ日本人の先発投手なら、山本由伸や今永昇太の評価の方がはるかに上ですからね」
その上、今オフのFA戦線の目玉である大谷翔平の動きにも、大きく左右されている。前出のスポーツライターは今後の動向について、
「MLBのFAやポスティングは、大物から決まっていくのが相場。藤浪クラスの選手が決まるのは、大物選手の処遇が全て決まってからになります」
阪神時代から藤浪を知るスポーツ紙記者は、別の不安要素も口にする。
「今季の投球によって、藤浪の悪い面が出てくる可能性もある。それは現状に満足してしまう性格です。阪神で尻すぼみになったのも、そのせい。この1年ですっかり大物メジャーリーガーと勘違いするようなら、研究もされるし、来季は苦しいでしょうね。メジャーリーグはそんなに甘くないです」
大阪桐蔭高校時代は大谷のライバルと呼ばれ、藤浪もその過去の栄光にすがっている部分もあるが、それは昔の話。
「とにかくアメリカでプレーを続けたいのなら、今はまだいろいろ条件をつけるべきではない。先発をやりたければ、マイナー契約でもいいという覚悟で臨まないと。現段階でメジャーでのプレーを望むなら、早々と救援投手として契約し、トレーニングを開始するべきです」(前出・スポーツ紙記者)
バラ色のメジャー生活を送れるかどうかは、本人の踏ん切り次第なのである。
(阿部勝彦)