「忘年会スルー」といった言葉が流行るなど、ここ数年敬遠される傾向にあった「忘年会」。しかし今年は実施を予定する企業が急増し、確実に風向きは変わりつつある。オワコンとまで言われた忘年会が復活を遂げた要因は何なのか。
職場の忘年会への参加をボイコットする忘年会スルーは、2019年に「ニュースウオッチ9」(NHK)で取り上げられたこともあり、特に若者の間で急速に賛同者を増やしていった。そして、翌20年には新型コロナウイルスの感染拡大を後ろ盾に「上司に気を使いながらお酒を飲みたくない」「お酒を飲まないのに一律で会費を取られるのは納得いかない」「強制参加であるならむしろ残業代を払うべき」といった意見も増え、開催する企業が激減。21年に東京商工リサーチが実施したアンケート調査によると、7割以上の企業がコロナ禍が収まっても「忘年会はやらない」と回答していた。
しかし、東京商工リサーチの今年の調査では、「実施する」と回答した企業が54.4%と昨年の38.6%から急増している。
「実は、そんな忘年会復権の後押しをしているのは若手社員の場合が多いようなんです。Job総研が11月20日に発表した『2023年 忘年会意識調査』によると、忘年会に『とても参加したい』『参加したい』『どちらかといえば参加したい』と回答したのは20代が最も多く、合計で61.5%にのぼりました。入社3年以内の社員はコロナの影響で会社のイベントにまったく参加していないケースが多く、コミュニケーションに飢えているからでしょう。そのため、若手が参加するならと忘年会を復活させたり、新たに取り入れるところも増えているわけなんです」(エンタメ誌ライター)
ここぞとばかりに上司がハメを外しすぎないことを願うばかりだ。
(小林洋三)